2013 Fiscal Year Research-status Report
新規スクリーニング系によるNO調節性エピゲノム制御酵素の単離同定
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25670029
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
上原 孝 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00261321)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 一酸化窒素 / 酸化 / システイン / エピゲノム / がん |
Research Abstract |
初年度はエピゲノム制御酵素を多く含む核内タンパク質に対する抗体がスポットされているアレイを使用して,網羅的なNO基質タンパク質の単離同定を目指した.さらに,ヒットした候補タンパク質に関して細胞レベルで本当にNO結合性を有しているか否か検討することを目的とした.その結果,HDACをはじめとする数種の候補がヒットした. つぎにNO感受性に関してビオチンスイッチ法を駆使して検討した.この際に,細胞種によっても各候補タンパク質の発現量が異なることから,ヒト神経細胞/グリア細胞/血管内皮細胞/胃上皮細胞などに対して外来性のNOドナーを処理し,S-ニトロシル化反応の濃度依存性から判断した.このアッセイから,スクリーニングで得た候補タンパク質はすべてNOによって酸化されることがわかったが,NOに対する感受性はそれぞれ異なることがわかった. 以上の結果を踏まえて,候補タンパク質AおよびBについてさらなる解析を進めている.両者は上記の結果から低濃度NOによって特異的にS-ニトロシル化されることがわかっている.そこで,まずNO結合部位の同定を試みたところ,予想されるシステイン残基を特異的にS-ニトロシル化すること,さらに,この部位をセリン残基に置換した変異体ではまったくS-ニトロシル化が起こらないことを明らかにした.また,酵素活性に対するS-ニトロシル化の影響を検討したところ,NOの濃度依存的に活性が抑制されることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
独自に開発したスクリーニングを実施し,この中から目的のエピジェネティクス関連酵素の同定に成功した.それらのサブタイプを含めて十数種の候補に対して,細胞内での挙動を検討し,候補タンパク質が真にNOの基質であることを確認出来たことは今後の研究を展開する上で非常に大きい成果と考えている.さらに,研究の方向性を決定する上で,新規性を求めることは当然であるが,研究遂行のしやすさも大きなファクターであると考え,NO要求性について検討して,候補タンパク質の絞り込みを計った.その結果,現在,低濃度のNOによって修飾される2つの異なるエピゲノム制御酵素をピックアップし,これらについて修飾部位,酵素活性について詳細な調査を行い,すでに成果を挙げつている.これらの知見はこれまでにまったく報告が無いことから,病態形成との因果関係が明らかにあればインパクトのある成果として評価されると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は,当該エピゲノム制御酵素がNOによって影響を受けた際に.ゲノム上にどのような変化がもたらされるのかを調査する.そのためには,まず標的遺伝子発現量の変化を捉えなくてはならないため,mRNA発現量をDNAチップなどを使用して解析する必要がある.この解析を進めた上で,変化のあった遺伝子の上流におけるゲノム修飾の有無を種々の方法から明らかにする予定である.さらには,既存/新規抗がん薬はエピゲノム修飾酵素に対してデザインされているものもあることから,NOによる作用との違いを薬理学的に調べる予定である.このような研究を推進することで,これまでに全く不明であったエピゲノム制御酵素の生体内調節機構を提示し,新規抗がん薬開発のための情報を提示していく.
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Research Products
(1 results)