2013 Fiscal Year Research-status Report
人工ヌクレアーゼを用いた早老症iPS細胞の遺伝子修正と治療への応用
Project/Area Number |
25670030
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
嶋本 顕 広島大学, 大学院医歯薬保健学研究院, 准教授 (70432713)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 秀彦 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (30379846)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ウェルナー症候群 / iPS細胞 / 人工ヌクレアーゼ / ゲノム編集 / 遺伝子修正 |
Research Abstract |
ウェルナー症候群(WS)は,テロメア機能不全による体細胞の早期老化が全身性に加齢を促進して,皮膚萎縮,糖尿病,動脈硬化、がんなどを早期に発症する早老症であり,根本的な治療法はなく,下肢切断などによるQOL の低下が著しい難治疾患である。本研究は,患者iPS細胞の変異遺伝子を人工ヌクレアーゼにより修正し,正常で拒絶のない患者iPS細胞を樹立し,修正されたiPS 細胞の安全性と性状,主な病変部として分化誘導した表皮,脾臓β細胞,血管内皮細胞の病態改善の検証を進め,安全で効果の期待できるウェルナー症候群のためのテーラーメイド細胞移植治療の開発を行う。 25年度ウェルナー症候群原因遺伝子WRNを標的とした人工ヌクレアーゼの構築を行った。日本人のウェルナー症候群患者で高頻度に認められるWRN遺伝子変異Mut-4 (c.3139-1G>C)はエクソン26の上流側に近接する塩基GがCに置換したイントロンの変異である。Mut-4を含むエクソン25~27をカバーする正常WRN遺伝子の領域を組み込んだターゲティングベクターを用いて、Mut-4を相同組換えにより修復するために、エクソン26とエクソン27の間のイントロンの塩基配列を認識するWRN遺伝子標的TALEヌクレアーゼ(WRN_TALEN)2セットを構築した。Single strand annealing assayにより、高い標的切断活性を有する WRN_TALENを同定した。 本研究ではWS患者由来iPS細胞及びWRN遺伝子変異が修復されたiPS細胞からそれぞれ分化誘導した細胞を用いて、WRN遺伝子変異が修復されたiPS細胞では早期老化の表現形が抑制されていることを証明することを目的とする。そこでWS患者由来iPS細胞を用いた胚葉体を経由した自発的な分化誘導の条件検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度の当初の計画ではでWRNの変異が正常WRN遺伝子に置換した正常化iPS 細胞を作製・樹立することになっていたが,実際にはWRN遺伝子のゲノム編集に用いる人工ヌクレアーゼのデザイン・構築と評価、そしてWRN遺伝子のMut-4変異を修正するターゲティングベクターの構築を行っている。一方、26年度に行う予定のiPS細胞の分化誘導条件の一部を、胚様体形成を経由した自発的分化誘導系を用いて検討した。したがって、概ね順調に進展しているという評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
エクソン26とエクソン27の間のイントロンの塩基配列を認識するWRN遺伝子標的TALEヌクレアーゼとMut-4を含むエクソン25~27をカバーする正常WRN遺伝子の領域を組み込んだターゲティングベクターを用いて、Mut-4変異が修正されたWS患者由来iPS細胞を作製する。そしてWS患者由来iPS細胞及びWRN遺伝子変異が修復されたiPS細胞を分化させて、Mut-4変異が修正された分化誘導細胞において早期老化・ゲノム不安定性の表現型が抑制されていることを明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画の遂行に使う試薬や消耗品に充てるには、この残高は非常に少額なので次年度に繰り越すこととした。 次年度の交付額と合わせて、研究計画の遂行に必要な試薬・消耗品に適切に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)