2013 Fiscal Year Research-status Report
短・中鎖脂肪酸によるTSLP産生誘導機構に関わる未知受容体の同定
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25670034
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平澤 典保 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (80181155)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 短鎖脂肪酸 / TSLP / ケラチノサイト / GPCR |
Research Abstract |
(1) 短・中鎖脂肪酸を認識してthymic stromal lymphopoietin (TSLP) 産生を誘導する受容体についてマウス上皮細胞株PAM212細胞を用いて探索した。PAM212細胞を短鎖脂肪酸で刺激するとTSLP産生が誘導されるが、酸素数5のvaleric acidがもっとも強い活性を示した。Valeric acidによるTSLP産生はpertussis toxin処理、およびRhoキナーゼ阻害薬によって部分的に抑制されたことからGi-および G12/13連関受容体の寄与が示唆された。また物理的刺激により放出されるATPや、浸透圧や温度変化により活性化するTRPV4作動薬でもTSLP産生は影響を受けなかった事から、この作用は単なるストレス応答ではない事が確認された。側鎖あるいは不飽和結合を持つ短鎖脂肪酸について、短鎖脂肪酸受容体FFAR2/3の作動化合物ならびに類似化合物を用いて解析したところ、本作用はisovaleric acidおよびアンゲリカ酸に選択的で、FFAR2/3とは明らかに異なる構造選択性を示した。 (2) siRNA法により本細胞が発現するGPCR発現を低下させることによる受容体の探索を開始した。まず、PAM212細胞でsiRNA法で膜蛋白の発現が低下させることによりTNFαによるTSLP産生が低下する事を確認した。同様の方法でvaleric acidの受容体を解析中であるが、valeric acidの受容体の同定には未だ至っていない。 (3) 受容体直下のシグナルについて更に検討したところ、valeric acidによるTSLP産生が、phospholipase (PL) C阻害薬により増強する事を見いだした。本阻害薬はTPA刺激によるTSLP産生は増強しなかった事からPLCを介した抑制シグナルが寄与していている事が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度での受容体の同定は達成できなかったが、網羅的な解析であり、着実に進展していると考える。当該受容体が認識する化学構造の解析、受容体シグナリングについては明確な進展があり、推定される受容体の特性が明らかになってきた事ことから、おおむね予定通り進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は以下のように研究を推進する。(1)化学物質の認識するGPCRとして、さらに本上皮細胞に数種もの嗅覚受容体が高発現していることがマイクロアレイにより明らかになり、今後これらの受容体についても検討範囲を広げ、受容体同定を目指す。(2)動物実験モデルにおいて、valeric acidによるTSLP産生とアレルギー増悪化作用を解析して、病理的な役割を解明する。(3)類似化合物のTSLP産生、並びにvaleric acidに対する拮抗作用を引き続き解析し、拮抗薬の開発も同時に進める。(4)短鎖脂肪酸は皮膚上、あるいは腸内細菌より産生される事が知られているため、ヒトケラチノサイト、および腸上皮細胞でのTSLP産生について解析する。また、SNP情報からアレルギーとの関連性を探索する。
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Research Products
(4 results)