2014 Fiscal Year Research-status Report
糸状菌をホストとする植物アルカロイド生物合成システム
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25670046
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
藤井 勲 岩手医科大学, 薬学部, 教授 (70181302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 孝 岩手医科大学, 薬学部, 助教 (10552888)
橋元 誠 岩手医科大学, 薬学部, 助教 (80552893)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生合成 / アルカロイド |
Outline of Annual Research Achievements |
二次代謝産物生産性の高い糸状菌を宿主とした有用植物アルカロイド生物合成システムの構築を目指し、種々のベンジルイソキノリン系アルカロイド生合成の共通前駆体であるレチクリンを第一のターゲットとして、研究を進めている。宿主とする麹菌Aspergillus oryzaeにより供給されるチロシンから、最初のベンジルイソキノリン骨格化合物であるノルラウダノソリン生成までに必要な生合成酵素遺伝子であるtyrosinase遺伝子(TYR)、monoamine oxidase遺伝子(MAO)、tyrosine decarboxylase遺伝子(TYDC)、norcoclaurine synthase遺伝子(NCS)について、昨年度構築した各発現プラスミドを4重栄養要求性A. oryzae NSAR1株を宿主として形質転換した。その誘導発現培養を行い、導入遺伝子の発現により生産が期待される化合物の分析を行った。まず、TYRの導入株について、LC-MSで分析したが、L-DOPA、dopamineは確認できなかった。次いで、TYRとTYDCの共発現株を分析したところ、L-DOPAの生産を確認し、TYRがA. oryzaeにおいて機能的に発現することを確認できた。ただし、dopamineの生産は認められず、解析した株でのTYDCの機能的発現は確認することができなかった。そこで、MAOとNCSの共発現株に基質であるdopamineを誘導培地中に投与し、その変換体をHPLCで検出することを試みた。その結果、新規生成物のピークが2つ認められたものの、メインピークはN-acetyl dopamineと同定され、ベンジルイソキノリン骨格をもつ化合物の生成は確認されなかった。そこで、現在、4遺伝子の同時共発現株の取得とその生産物の分析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画を少し変更し、A. oryzae多重栄養要求性株を宿主として、チロシンから最初のベンジルイソキノリン骨格化合物であるノルラウダノソリン生成までに必要な4つの生合成酵素遺伝子を順に宿主ゲノムに組み込むことを計画し、遺伝子の調製や合成、および発現プラスミドの構築を行った。次いで、A. oryzae多重栄養要求性株への形質転換により、各遺伝子およびその共発現体の取得を行ったが、その段階で時間がかかった。得られた形質転換体について、順次、誘導培養とその生産物の解析を進めた。特にMAOとNCSの共発現株にdopamineを投与し、ベンジルイソキノリン骨格をもつ化合物の生成を期待したが、主生成物はN-acetyl dopamineと同定され、反応の進行を確認することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
ノルラウダノソリン生成までに必要な生合成酵素遺伝子であるtyrosinase遺伝子(TYR)、monoamine oxidase遺伝子(MAO)、tyrosine decarboxylase遺伝子(TYDC)、norcoclaurine synthase遺伝子(NCS)全てを組み込んだ4重共発現株を取得することをまず目的とする。得られる形質転換体について、遺伝子のゲノムへの組み込み、及びその発現をPCR、RT-PCRにより確認する。確認できた4重共発現株を用いて、L-DOPA、domapine、3,4-dihydroxyphenylacetic acid、そしてノルラウダノソリンの生産をHPLCおよびLC-MSにて分析する。ノルダウラノソリンの生産を確認することができれば、ノルラウダノソリンからレチクリン生成までに必要な3つのメチル基転移酵素遺伝子を合成し、これまでに作成した発現プラスミドに追加導入することにより、全7遺伝子を組み込んだ形質転換体の取得、レチクリンのA. oryzaeによる生物合成を目指す。
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Causes of Carryover |
昨年度合成した4遺伝子の導入株の解析を中心に研究を進めたため、今年度予定していた次の段階を触媒するメチル基転移酵素遺伝子の委託合成を行うまでに至らなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度実施できなかったノルラウダノソリンからレチクリンまでの3つのメチル基転移酵素遺伝子の委託合成を次年度に予定している。その導入によるレチクリンの生物合成を目指す。
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Research Products
(1 results)