2013 Fiscal Year Research-status Report
自然な睡眠を促すクロシン糖付加物の合成と作用機構の解明
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25670047
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
有竹 浩介 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 准教授 (70390804)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | クロシン / ノンレム睡眠 / サフラン / カロテノイド |
Research Abstract |
1)クロシンの作用機構の解明: 睡眠調節に関与する様々な分子 (プロスタグランジン(PG)D2合成酵素、PGD 受容体、アデノシン受容体、ドーパミン受容体、ヒスタミンH1 受容体等々) の遺伝子改変マウスに対して、クロシンを投与して自発運動量測定、脳波計測を行い、野生型マウスに対する効果との比較を行った。クロシンをヒスタミンH1 受容体遺伝子欠損 (KO) マウスに投与すると睡眠誘発効果が減弱することが判明した。ところが、クロシンはH1受容体拮抗作用やヒスタミン遊離抑制作用がないことも判明した。従って、クロシンは、ヒスタミンによる覚醒系間接的に抑制することによって睡眠を誘発していると考えられた。またアデノシンA1受容体欠損マウスにクロシンを投与すると野生型マウスに比べて自発運動量の抑制作用が増強することが判明した。この結果については、脳波測定を行い作用の裏付けを行う予定である。クロシンの睡眠誘発効果に関与する分子ターゲット分子の絞り込みを行う。 (2)クロシン糖付加物の効率的合成:クロシンは、クロセチンにゲンチオビオースが2分子縮合した化合物であり、クロセチンに比べて水溶性が高いが、水溶液中では光や熱に対して不安定である。またクロセチンやクロシンは分子内に共役二重結合を有するため、自動酸化を受けやすく分解が生じやすい。クロシンの睡眠誘発効果は、クロセチンの効果に比べて10倍強力であることから、糖分子が吸収性や化学的安定性に寄与していると考えられる。そこで、クロシンに糖を付加することによって、更に安定な化合物が得られると考え、クロシンへの糖付加を行った。クロシンに可溶性デンプンを基質としてCyclodextrin-glucano-transferase(CGTase) を用いて、酵素的に糖の付加を行った。糖付加物は、クロシンに比べて光安定性が向上し、その作用は付加された糖の数に比例することも判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
睡眠覚醒関連遺伝子を改変したマウスを用いて、クロシンの自発運動量や睡眠・覚醒に及ぼす効果を調べたところ、クロシンは、ヒスタミンによる覚醒系の抑制によってノンレム睡眠を誘発すうことを見出した。ただし、この効果はヒスタミンH1受容体に対する拮抗作用あるいはヒスタミン遊離抑制作用に寄らないこと、すなわち、クロシンは間接的にヒスタミンによる覚醒系を抑制していることを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)クロシンの作用機構の解明:平成25年度に引き続き、クロシンおよびクロシン糖付加物の睡眠調節作用機構の解明を行う。 (2)クロシン糖付加物の安全性の検討:食品添加物として使用が認められたCGTaseおよび可溶性デンプンを材料として合成したクロシン糖付加物の経口投与による安全性 (急性毒性、亜急性毒性) を、マウスを用いて確認する。 (3)クロセチンへの糖付加によるクロシン合成の検討:クロセチンはサフランやクチナシの実にも含まれ、クロシンに比べて比較的入手しやすい。一方、クロセチンの睡眠改善効果は、クロシンのそれに比べて1/10と弱く、また水溶性に乏しいため、食品或いは薬剤候補化合物として取り扱いが困難である。クロセチンへの糖付加反応に関与すると考えられる酵素が、クチナシやサフランから同定されている。この酵素およびCGTaseを用いて、効率よくクロシン糖付加物を合成する方法を検討する。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Opposing immunomodulatory roles of prostaglandin D2 during the progression of skin inflammation.2014
Author(s)
Sarashina H, Tsubosaka Y, Omori K, Aritake K, Nakagawa T, Hori M, Hirai H, Nakamura M, Narumiya S, Urade Y, Ozaki H, Murata T.
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Journal Title
J Immunol.
Volume: 192
Pages: 459-465
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Mast cell maturation is driven via a group III phospholipase A2-prostaglandin D2-DP1 receptor paracrine axis.2013
Author(s)
Taketomi Y, Ueno N, Kojima T, Sato H, Murase R, Yamamoto K, Tanaka S, Sakanaka M, Nakamura M, Nishito Y, Kawana M, Kambe N, Ikeda K, Taguchi R, Nakamizo S, Kabashima K, Gelb MH, Arita M, Yokomizo T, Nakamura M, Watanabe K, Hirai H, Nakamura M, Okayama Y, Ra C, Aritake K et al
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Journal Title
Nat Immunol.
Volume: 14
Pages: 554-563
DOI
Peer Reviewed
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