2013 Fiscal Year Research-status Report
可逆的マイケル付加ー脱離制御を鍵反応とするプロドラッグ設計概念の確立
Project/Area Number |
25670051
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岩渕 好治 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (20211766)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 創薬化学 / 薬剤反応性 / 抗腫瘍活性 / プロドラッグ / マイケル付加 |
Research Abstract |
当研究室で開発したC5-curcuminoid型[bis(arylmethylidene)acetone型]抗腫瘍活性化合物GO-Y030の薬物動力学的有用性開発を期して、エノン部分に多様なチオール分子をMichael付加してプロドラッグ候補分子を合成し、それらの溶解性と抗腫瘍活性を評価した。その結果、単純な脂肪鎖が置換したチオールでは溶解性も改善されず抗腫瘍活性が消失してしまったが、システアミンやN-アセチルシステイン、グルタチオン等、β位にヘテロ原子を有するチオールでは水溶性が向上するとともに、GO-Y030と同等の抗腫瘍活性が観られることを確認した。また、チオール付加型プロドラッグのNMRを追跡した結果、抗腫瘍活性が保持された誘導体においては速やかな逆マイケル反応が進行することも明らかとなった。これらの結果から、C5-curcuminoidはグルタチオン抱合体となっても逆マイケル反応によって平衡下にファルマコフォア部位であるエノン部を再生し、細胞内でより高い親和性を有するタンパク質に付加して細胞増殖抑制活性を発揮していることが強く示唆された。さらに、今回合成したチオール付加型プロドラッグの中には、親化合物であるGO-Y030を凌駕する抗腫瘍活性を発現するものが見いだされたことから、チオール側鎖の機能修飾を鍵として逆マイケル反応性を制御して、細胞内での挙動と安定性を制御できる可能性が見いだされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
可逆的マイケル反応に基づくプロドラッグ作成の可能性を示唆する結果を得ることができた。また、チオールに近接する置換基によってプロドラッグとしての機能調整する可能性を見いだすことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞内での安定性、プロドラッグとしての機能性を明確に示すことができる誘導体の獲得を目指して合成・抗腫瘍活性の評価を行い、逆マイケル反応に基づくプロドラッグ化概念の確立を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請時に購入を計画していたガラス機具や消耗品を別予算で購入できたため、次年度に繰り越した。 前年度の研究で明らかになった課題を実験的に解決するため、新たな誘導体を合成するための試薬・溶媒の購入に充てる予定である。
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