2014 Fiscal Year Annual Research Report
フッ素官能基の導入による小分子生理活性物質のナノコロイド化
Project/Area Number |
25670055
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
柴田 哲男 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40293302)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | フッ素 / フタロシアニン / サブフタロシアニン / ペンタフルオロスルファニル / 両親媒性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナノコロイドを作り出す鍵となり因子として,フタロシアニンやサブフタロシアニン周辺の置換基を想定している。そこで,計画に従い,大きく電荷の偏りを持つペンタフルオロスルファニル(SF5)基を分子に導入したフタロシアニン類の開発を行い,物性を検証することとした。2,3-dicyanophenyl trifluoromethanesulfonateと3,5-bis(pentafluorosulfanyl)phenylboronic acidのカップリングによりSF5を持つphthalonitrileを61%の収率で得た。この基質を用いてフタロシアニンを合成を試みたが,立体障害のため反応が遅く,最終的には無溶媒,220°Cという条件でフッ素原子を40個持つ3,5-bis(SF5)Ph型フタロシアニンを合成した。CF3を持つフタロシアニンと無置換のフタロシアニンも合成し,そのUV/Visスペクトルの比較を行った。その結果,低濃度において3種類のフタロシアニンに顕著な差が見られた。さらにお椀型三次元構造の3,5-bis(SF5)Ph基を持つサブフタロシアニンの合成も成功した。UV/Visスペクトルの測定を行ったところ,3,5-bis(SF5)Ph基は持たないものに比べて,顕著にブルーシフトしていることが分かった。さらにフタロシアニン骨格に直接SF5基が直接結合しているフタロシアニンの合成にも成功した。さらに糖縮合型含フッ素フタロシアニンの合成を計画した。フッ素の高い脂溶性と糖の水溶性を組み合わせることにより,分子全体に両親媒性が付与され,ナノコロイドの発生に有利に働くと予想出来るためである。合成した糖縮合型含フッ素フタロシアニン化合物を用いて,癌細胞によるPDT試験にを行ったところ,フッ素の有無により効果が大きく異なり,含フッ素型のもので,強いPDT活性を持つことがわかった。
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