2013 Fiscal Year Research-status Report
血管内皮細胞特異的レセプターRobo4をターゲットとした新規敗血症治療戦略の確立
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25670056
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 欣晃 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (50444500)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Robo4 / 敗血症 / 血管内皮細胞 / 炎症 |
Research Abstract |
敗血症は感染が原因となる全身性炎症反応症候群であり、高率で死に至る重篤な疾患である。近年、我々は血管内皮細胞特異的に発現する受容体Robo4のノックアウトマウスを用いた敗血症モデルにおいて、IL-6などの炎症性サイトカインの過剰産生が顕著に抑制され、生存率が上昇することを見出した。そこで、本ノックアウトマウスが敗血症抵抗性を示すメカニズムを解析するために、まず、Robo4のノックダウンが内皮細胞からのIL-6産生を抑制するかを解析した。ヒト内皮細胞HUVECにRobo4 siRNAを導入後、LPSを処理する実験を行ったところ、内皮細胞におけるIL-6 mRNA産生、IL-6分泌が顕著に抑制された。本結果から、Robo4ノックアウトマウスにおけるIL-6過剰産生抑制の一つのメカニズムが、内皮細胞からのIL-6産生抑制であることが示された。また、IL-6以外の炎症応答遺伝子についても発現量の解析を行ったところ、Robo4のノックダウンは、必ずしもすべての炎症応答遺伝子発現を抑制せず、一部の遺伝子の発現を増加させた。本結果から、Robo4はIL-6を含む一部の炎症応答遺伝子の発現にのみ促進的に寄与することが示された。次に、Robo4発現抑制による敗血症の治療効果を検証するために、Robo4の発現をin vivoで効率的に抑制するsiRNAの作製を行った。まず、マウス内皮細胞株MS1細胞に4種のマウスRobo4に対するsiRNAを導入したところ、すべてにおいて80%以上のRobo4 mRNA発現抑制効果がみられた。さらに、最も抑制効果強かったsiRNAを遺伝子導入試薬と混合し、マウスに尾静注したところ、肺、腎臓など種々の臓器においてRobo4 mRNA発現量が最大50%抑制されていた。本結果から、in vivoでRobo4発現を抑制できるsiRNAを確立できたことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Robo4機能の解析、Robo4発現抑制核酸の作製も予定通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
Robo4ノックアウトマウスが敗血症抵抗性を示すメカニズムを、分子レベルでさらに詳細に解析する。また、今回構築したRobo4の発現抑制核酸による敗血症治療効果を検証するとともに、別メカニズムで作用する核酸の作製や抗体を用いた治療効果についても引き続き検証を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定よりもやや順調に研究が進んだため、少額であるが研究費の節約ができた。 残額を次年度の研究費に上乗せし、研究の迅速な遂行など有効に活用する。
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