2013 Fiscal Year Research-status Report
内在性リガンド:プロサイモシンαによる自然免疫機構制御技術開発
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25670061
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
植田 弘師 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00145674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 義正 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (90280700)
松永 隼人 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (20437833)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | DAMPs / 自然免疫 / 生理活性物質 / 受容体 / 神経創薬 / スクリーニング / ペプチドミメティクス |
Research Abstract |
本研究は、ストレス誘発性に細胞外に遊離する脳保護性の新規DAMPsであるプロサイモシンα(ProTα)をToll-like Receptors(TLRs)を代表とする病原体センサー受容体に認識される秩序制御分子と位置づけ、自然免疫受容体シグナルをProTαアミノ酸配列を基にしたペプチド性アゴニスト、アンタゴニスト、アジュバント、または、低分子化合物で制御し、感染症創薬に貢献する挑戦的研究である。 1.ProTα作用自然免疫受容体の同定:in silico解析により構造が既知の自然免疫受容体群から、ProTα作用の可能性の高い受容体を選別すると共に、その結合には受容体アダプター分子が必須であること、ProTαの受容体結合部位が推定された。事実、in vitroの動力学的解析から、本自然免疫受容体/アダプター分子との結合が確認され、in silico推定ProTαの受容体結合部位の部分ペプチドが、これらの相互作用を阻害することを見出した。また、in silico解析によりProTαの作用を模倣する可能性のある候補化合物を化合物ライブラリーより見出しており、ハイスループットスクリーニングを行う段階にある。 2.ProTα作用模倣分子探索のためのハイスループットスクリーニング系の構築:受容体シグナルを分泌型アルカリホスファターゼ活性として評価するSEAPorter Assayと化学発光検出系を構築した。また、受容体シグナルにより変動する遺伝子群の発現定量系も構築し、化合物作用確認に応用する。 3.個体レベルにおける評価系の構築:ヒットしたペプチド、化合物については、マウス網膜虚血モデルにおける組織化学的改善と網膜電位図解析による機能的改善効果にて評価する。本系はProTα由来活性ペプチドの効果のスコアリングにも成功している。 ProTαの標的となる自然免疫受容体を同定し、ProTα作用を模倣するペプチド・化合物探索のためのスクリーニング系を概ね構築した。平成26年度は、HTSを開始する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.ProTαが作用する自然免疫受容体を見出し、その親和性を明らかとしている。また、in silico解析、in vitro解析から、ProTαの受容体結合ドメインを明らかとしている。 2.ProTαの部分欠損変異体、ProTα由来ペプチドの解析から、高活性の自然免疫受容体シグナル賦活化ペプチドを見出している。 3.受容体とリガンドの結合実験系、並びに細胞・個体レベルにおける活性評価系を構築し、個体レベルにおける活性ペプチドの評価に成功している。 4.ProTαと自然免疫受容体のin silico解析から、ProTαの作用を模倣する可能性のある候補化合物を化合物ライブラリーより見出しており、ハイスループットスクリーニングを行う段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
脳保護性DAMPs: ProTαの自然免疫受容体スクリーニング系を分子―個体レベルで概ね構築できたことから、ProTα活性模倣ペプチドと化合物ライブラリーのハイスループットスクリーニング(HTS)を行う。その目的は、ProTα活性模倣ペプチドを基とした改変ペプチド、in silico解析より抽出したProTα作用模倣候補化合物群をHTSすることによる自然免疫受容体に対するアゴニスト、アンタゴニストの創製である。これは、基礎研究における応用のみなら ず、ペプチド-受容体結合状態の立体構造解析を将来的に行うことで、有用化合物構造の推定と設計への応用が期待される。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、主に自然免疫受容体に対する結合実験、in silico解析、自然免疫受容体作用ハイスループットスクリーニング・個体アッセイ系の構築を行い、計上経費ほどに支出を伴わなかったため当該助成金が生じた。 平成26年度において、当該助成金は、自然免疫受容体に対するハイスループットスクリーニングを実施する必要経費として計上する。その内訳は、ハイスループットスクリーニング消耗品費、ProTα由来活性ペプチド合成費、公的・市販化合物ライブラリー購入費である。
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