2014 Fiscal Year Annual Research Report
クラミジア菌による宿主細胞脂質輸送ハイジャックを阻止する分子戦略研究
Project/Area Number |
25670065
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
花田 賢太郎 国立感染症研究所, 細胞化学部, 部長 (30192701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 圭悟 国立感染症研究所, 細胞化学部, 主任研究官 (40443105)
山地 俊之 国立感染症研究所, 細胞化学部, 主任研究官 (50332309)
齊藤 恭子 国立感染症研究所, 細胞化学部, 主任研究官 (70235034)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脂質 / セラミド / 細胞内寄生 / クラミジア / プレクストリン相同ドメイン / Vero細胞 / ワクチン細胞基材 / ゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
偏性細胞内寄生細菌クラミジア・トラコマチス(C. trachomatis)は日本を含む多くの先進国において性感染症の最大起因病原体である。我々はクラミジア菌の寄生増殖には宿主細胞のセラミド輸送タンパク質CERTが重要であることを見出した(Elwell et al 2011 PLoS Pathog)。興味深いことに、CERTのプレクストリン相同(PH)ドメインとクラミジア菌寄生胞(封入体)膜タンパク質IncDとの間には物理的会合があることも示唆されている。以上のような背景のもと、本研究課題では、CERTがゴルジ体と封入体それぞれを認識する機序の差を明らかにし、クラミジア菌によるCERTのハイジャックを選択阻害する分子戦略を提示することを目的としている。 本年度は、CERTのPHドメインの各種変異体を用いて解析を進めた。CERTがゴルジ体にリクルートされるためには当該PHドメインのホスファチジルイノシトール 4-モノリン酸(PI4P)結合活性が必要であるが、その活性を失ったアミノ酸置換変異体でもIncDとの結合は維持された。従って、CERTはそのPHドメインのPI4P結合ポケットとは異なる部分とIncDが会合することで封入体にリクルートされていると示唆された。 ゲノム編集技術を用いて作製したCERT遺伝子欠失HeLa細胞とクラミジア菌(C. trachomatis L2株)を共培養すると封入体を形成せず、菌自体も増殖しなかった。しかし、このHeLa変異細胞に野生型のCERTを発現させると封入体形成及び菌増殖が完全に回復した。これらの結果により、宿主細胞のCERTはクラミジア菌感染に必須であることが明らかとなった。 一方で、微生物学研究の実験材料としてだけでなく、ワクチン生産細胞としても汎用されているVero細胞の全ゲノム配列を世界に先駆けて解読し、核型解析やRNA-seq解析の結果も合わせてゲノム構造を統合的に明らかにした。
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Research Products
(10 results)