2014 Fiscal Year Annual Research Report
臨床試験における極微量採血による薬物動態解析の実現
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25670070
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
樋坂 章博 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (80420206)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 小児薬用量 / 薬物動態 / クリアランス / DBS / LC-MS/MS / 生理学的薬物速度論 / モデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
小児では臨床試験が困難なために根拠に基づく用量設定がなされていない例が多く、大きな問題となっている。本研究では小児の用量設定を科学的に行う方法論の整備を進めつつ、最終的には小児でも臨床試験を実施し、エビデンスを増やす必要があると考え、その実施上の困難を除くため、微量採血で薬物動態評価が可能な方法を確立することを目的とした。 これまで微量採血評価法として、微量を濾紙に採取し乾燥させた後に分析するDried blood spot (DBS)法が知られるが、採取血液量の正確性が乏しくデータの精度が低い、また全血中濃度となるため一般に解析に用いられる血清中濃度との比較が難しいとの欠点があり、これまで実用的に臨床試験に適用された例は非常に少ない。本研究では血清中あるいは血球中に含まれる内因性物質を薬物と同時に定量することで、採取血液量および血液中の血球量を補正し、血清中薬物濃度を補正する方法を新規に開発した。なお全血中濃度の血清中濃度への変換には、血清-全血薬物濃度分配比(Rb)が必要であるが、これは一般に血液への添加実験で容易に測定可能である。本研究の成果により5~20μL程度の微量の採血でも血清薬物濃度の正確な評価が可能となった。 小児用量は、これまで体表面積換算する方法などで設定され、一定の成功を収めてきたが、2歳以下の新生児・乳幼児では肝臓と腎臓の発達を正しく考慮したものとは言えなかった。我々は未熟児を含む新生児・乳幼児の臓器の発達を考慮し、排泄の肝腎振り分けに応じた用量設定法を生理学的薬物速度論モデルに基づき確立し、さらに臨床の現場でも使用可能な簡便な近似式を導出した。この式に基づき現在の添付文書の小児薬用量を確認した結果、特に新生児では数倍程度用量が過大である可能性が示され、今後はこの情報を参考に薬物を選択し、臨床試験を実施して小児薬用量を見直す必要があると考えられた。
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Research Products
(2 results)