2013 Fiscal Year Research-status Report
進化的アルゴリズムによるPopPKモデリングの完全自動化
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25670073
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山下 富義 京都大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (30243041)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 薬物動態 / 母集団解析 / パラメータ推定 / 機械学習 / 遺伝的アルゴリズム |
Research Abstract |
近年、Modeling & Simulationは臨床試験の成功確率を向上させるために不可欠な技術と認識されるようになり、患者背景に基づいて動態予測を行うポピュレーションファーマコキネティック(PPK)モデルはその中核をなしている。しかしながら、バイオマーカー探索など薬物動態を規定する因子探索が活発に進められる中、PPKモデルを合理的かつ効率的に探索する技術の開発が強く求められている。こうした背景のもと、本研究では、数式を遺伝的アルゴリズムにより進化させるプログラムを開発し、PPK解析における共変量モデルの開発に適用することを考えた。本年度はそのための計算ライブラリーの開発を中心に行った。数式は木構造で表され、木のノード部分には演算子、関数、変数のいずれかが割り当てられているものと考え、根ノードに値を要求するだけで命令が下位に波及して数式木全体としての値が計算されるアルゴリズムを開発した。次に、遺伝子記号列から数式木に変換アルゴリズムを作成し、遺伝的アルゴリズムにより数式の進化を取り扱えるようにコードした。この一連のアルゴリズムによる数式探索の有効性を確認するために、まずは単純な系である一般回帰問題を扱うこととし、CYP3A4阻害データの構造活性相関モデリングを行った。12,464化合物のデータを訓練用と検証用に分け、本アルゴリズムにより解析した結果、訓練データに対して72.8%、検証用データに対して72%の精度の決定木モデルが得られた。これはサポートベクトルマシン(SVM)と同程度の精度であったが、SVMでは数式構造が見えないことを考慮すると本方法の優位性が示された。また、PPK解析のためのプログラム開発も並行して進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標は、遺伝的数式プログラミング法のための計算ライブラリーの開発であり、これを一般回帰問題という単純な系でその有効性を検証することであった。CYP3A4阻害データの解析でアルゴリズムの可動性が確認できたほか、膨大な探索空間の中から有効な数式を見出すことにも成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
母集団薬物動態解析への本格的な応用のために、個体内・個体間変動を考慮した混合効果モデル解析の基礎となる拡張最小二乗法プログラムを実装する。多数のパラメータを自動的に推定できるように、初期値探索プログラムも開発する。完成したプログラムを使って、公共データベース上の母集団薬物動態データの解析を実施し、有効性を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
調査研究のために学会出張を予定していたが、招待講演という形での出張となり、組織委員会より旅費の一部支給があった。 プログラムの検証をより迅速にできるように、より高速な計算が可能なワークステーションを購入するために充当する。
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