2014 Fiscal Year Annual Research Report
進化的アルゴリズムによるPopPKモデリングの完全自動化
Project/Area Number |
25670073
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山下 富義 京都大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (30243041)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 薬物動態 / 母集団解析 / パラメータ推定 / 機械学習 / 遺伝的アルゴリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
医薬品開発の成功確率を高めるための手段としてモデリング&シミュレーションが注目を集めている。ポピュレーションファーマコキネティックス(PPK)解析は患者背景に基づいて動態予測を行うモデリング手法であるが、薬物動態を規定する因子候補は多数あり、PPKモデルを合理的かつ効率的に探索する技術開発が強く求められている。そこで、本研究では、遺伝的アルゴリズムという探索的手法をPPK解析での共変量モデルの決定に応用することを考えた。遺伝子コーディングにおいては、数式が木構造で表される点に着目し、数式木ノードを幅優先で読むことにより遺伝子コードを定義した。また、遺伝コードから数式に転換し、共変量モデル候補として拡張最小二乗法プログラムの中に組み入れることによって、母集団薬物動態データからパラメーター平均値および個体間・個体内変動を推定するアルゴリズムを開発した。この際、非線形最小二乗法におけるパラメーター推定において初期値設定の問題が存在するが、遺伝的アルゴリズムを初期値探索にも利用することで本課題を解決した。これにより、実験データから完全自動でPPKモデルが構築できる道が拓かれた。本手法を検証するために、トブラマイシン単回静脈投与後の血中濃度データの解析に応用した。その結果、全身クリアランスと分布容積に対する共変量としてクレアチニンクリアランスおよび体重がそれぞれ関与するという過去の報告に加え、クレアチニンクリアランスには定数項、分布容積には年齢を加味した項を組み入れたほうがよいとの結果が得られた。その際、単に2項の追加だけで推定における対数尤度が約-30も低下し、本モデルが極めて優れていることが示された。
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