2014 Fiscal Year Annual Research Report
飲むワクチン開発のためのナノ動態制御技術開発へのチャレンジ
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25670075
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堤 康央 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (50263306)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 経口ワクチン / 新興再興感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
飲むワクチン(経口ワクチン)は、投与部位である消化管粘膜のみならず、鼻腔・膣など、遠隔の粘膜面でも抗原特異的な免疫応答を誘導でき、粘膜面での初発感染防御が可能なうえ、万が一に、感染性病原体が粘膜面を突破してしまった場合においても、全身レベルで抗原特異的な体液性免疫と細胞性免疫を誘導し得るため、最適なワクチンと考えられている。しかし、弱毒株の病原体そのものを用いた、危険と隣り合わせの経口ワクチン以外、実用化例は無いのが現状である。そこで本研究では、申請者独自の、ナノマテリアルの物性-動態の連関情報を基盤として、ナノマテリアル自身の興味深い新機能としてのアジュバント活性にも目を向けつつ、最も重要でありながら、国内外を問わず、殆ど手が付けられていない抗原・ナノマテリアルの動態解析を試み、他に類のない、次世代型の「飲むワクチン」の開発に向けた基礎情報の収集を試みた。平成25年度には、粒子径や表面物性の異なる非晶質ナノシリカ粒子の経口投与後の体内吸収性を評価し、粒子径10 nmのナノシリカが、優れた腸管吸収性を示すことを明らかとした。平成26年度には、腸管上皮細胞におけるナノ粒子の細胞内取り込みや腸管透過性は能動輸送で行われ、粒子径や素材により効率が異なることを明らかとした。さらに、乳幼仔が成体と比較して、ナノ粒子を体内に吸収しやすい可能性、ナノ粒子の血中からの排泄能が低い可能性を示した。将来的には、種々ナノマテリアルの物性-動態(腸管安定性を含む)の連関情報をさらに集積し、これらをもとに、抗原を安全かつ効果的に、口から免疫担当細胞へと送達でき、効果的かつ安全に粘膜免疫を誘導できるナノキャリアの粒子設計を目指す。
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[Journal Article] Intestinal absorption and biological effects of orally administered amorphous silica particles.2014
Author(s)
Yoshida T., Yoshioka Y., Takahashi H., Misato K., Mori T., Hirai T., Nagano K., Abe Y., Mukai Y., Kamada H., Tsunoda S., Nabeshi H., Yoshikawa T., Higashisaka K., Tsutsumi Y.
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Journal Title
Nanoscale Res Lett.
Volume: 9
Pages: 532
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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