2013 Fiscal Year Research-status Report
miR-27aによるMDR1発現調節:作用増強(癌組織)と副作用回避(正常組織)
Project/Area Number |
25670078
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
家入 一郎 九州大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (60253473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣田 豪 九州大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (80423573)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | miRNA / p-糖タンパク質 / 抗がん剤 / 耐性克服 |
Research Abstract |
HIPK2などの転写因子は、がん組織に高発現することが知られている。Caco-2細胞やK562細胞を使用し、ノックダウン実験を通し、関連因子の相互作用を評価した。Caco-2細胞において、転写因子HIPK2をノックダウンした結果、P-糖タンパク質(P-gp)の発現がmRNAレベルで有意に上昇した。がん組織を想定した環境においてはHIPK2がABCB1の発現抑制因子であることを確認した。同様に、Caco-2細胞、HIPK2ノックダウン下、miR-27aを過剰発現させた状況でのP-gpの発現は、コントロールに比べ、低下傾向にあった。miR-27aがHIPK2に拮抗的に作用すると考えられる。しかし、Caco-2細胞において、miR-27aをノックダウンしたが、P-gpのmRNA発現には大きな変化は見られなかった。一方、miR-27a過剰発現下において、イリノテカンを添加した場合、Caco-2細胞の生存率は上昇した。miR-27aによるHIPK2の阻害の結果、P-gp発現の上昇した結果と考えられる。以上より、miR-27a発現は、P-gpを介した抗がん剤の効果寄与していることが想定された。しかし、miR-27aのノックダウン効果によるP-gp発現に変化が見られなかったことから、使用する細胞種の問題が考えられた。現在、P-gpが過剰発現した抗がん剤耐性細胞において、miR-27aの発現抑制が耐性克服に効果を有するか検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
miR-27aのノックダウン効果が明確に観察されないことから、使用する細胞種の変更が必要と考えられ、当初、予定に無かった耐性細胞種での実験を実施中であるため、僅かに計画が遅れているが、全体の進捗には特に問題は無いと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
1. miR-27a阻害がHIPK2存在下、非存在下においてイリノテカンの殺細胞効果に与える影響についての検討:MDR1耐性細胞(HeLa細胞において耐性細胞樹立済み)にてHIPK2ノックダウン、K562細胞にHIPK2導入を行い、miR-27a阻害効果によるイリノテカンの効果を評価する。step 1, MDR1耐性細胞、K562細胞にmiR-27aを特異的に阻害するLNAをトランスフェクションする。step 2, イリノテカン暴露を行い、経時的にcell proliferation kitにより細胞増殖を定量する。 2. 上記知見のin vivo評価:step 1. C26大腸癌細胞をBalb/cマウスの左側腹部皮下に移植する(10^6個)。step 2, 低毒素LNAを尾静注する(10 mg/kg)。step 3-1, 癌部、非癌部のmiR-27a発現量の経日的測定。3-2, イリノテカン(対照は生食)投与を行い、効果(腫瘍経)と副作用(血球数)を評価し、3-1の結果の関連性を評価する。
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