2013 Fiscal Year Research-status Report
薬剤耐性に伴う抗がん剤ドキソルビシン排出におけるオートファジーの関与
Project/Area Number |
25670083
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
奈良 篤樹 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 講師 (60387959)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 薬剤耐性 / ドキソルビシン / オートファジー |
Research Abstract |
本研究の目的は、薬剤耐性に伴って核から細胞質に排出される抗がん剤ドキソルビシンのリソソームへの輸送にオートファジーの関与を明らかにすることである。H25年度では、排出されるドキソルビシンの蛍光輝点の動態と局在を明らかにし、オートファジー制御因子との関連を明らかにすることを目的として研究を遂行した。 (1) 細胞質に出現するドキソルビシン蛍光輝点のライブ解析:細胞質に排出されるドキソルビシンがオートファゴソームに取り込まれるのか明らかにするため、①オートファジーマーカーLC3とGFP融合遺伝子の安定発現細胞株を取得し、②この細胞株を用いて蛍光顕微鏡を駆使してライブ解析を行ない、核から排出されたドキソルビシンとLC3-GFPが頻繁に共局在することが分かった。Atg14ノックダウン細胞ではこれがほとんど見られないことも分かり、従来提唱されている薬剤トランスポーターを介する薬剤排出の定説に疑義を提案することができた。 (2) 光顕電顕対応法によるドキソルビシン分布の細胞内微細構造解析:光顕で得た画像を電顕で重ね合わせる実験手法は、ドキソルビシンの分布場所近辺のオルガネラの膜微細構造の詳細を明らかにできる。実際に行なったところ、細胞質に存在するドキソルビシンの蛍光は、電子密度の濃い領域に含まれることが判明した。今後、抗LC3抗体を用いてこの領域の免疫電顕を行なったり、3Dトモグラム解析による立体構築を行なったりすることで、さらなる飛躍的な研究発展が期待され、現在更なる研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、薬剤耐性に伴う抗がん剤ドキソルビシンの核外排出とリソソームへの輸送はオートファジーを介することを明らかにすることである。薬剤トランスポーターを介して輸送されるといった定説に対して、オートファジーが関与するという挑戦的考えで本研究は遂行され、その分子機構を解明するための研究である。特筆すべきは、H25年度の研究において、ドキソルビシンがLC3-GFPと共局在することをライブで捕らえることに成功したことである。定説のみでは説明できない大きな実験結果を得た意味で、達成度は高いと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、H25年度の実験をさらに引き続き推進し、Atg14以外のオートファジー制御因子についても同様にライブ解析をしてドキソルビシン排出の分子機構の詳細を明らかにする。計画通り、細胞質に排出されたドキソルビシンの局在の詳細も免疫電顕などを駆使して細胞生物学的に明らかにする。LC3-GFPと共局在することが判明したので、当初の計画通り、LC3-GFPと相互作用する因子の探索と同定を生化学的に行なう。現在、研究計画の大幅な変更は考えていない。当初計画通りに進められていることから、研究を遂行する上での課題等は現時点で見つけられず、H26年度研究計画通りに推進したい。
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