2015 Fiscal Year Annual Research Report
IGF-1のIGF受容体非依存性シグナル解析による創傷治癒薬への応用
Project/Area Number |
25670128
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
乾 誠 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70223237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 大樹 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40464367)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 創傷治癒 / 細胞遊走 / 皮膚 / インスリン様成長因子 / ペプチド / アンギオテンシンI変換酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
IGF-1は多様な生理作用を示すが、角膜、皮膚の上皮細胞の遊走促進や創傷治癒促進には、これまで生理作用が知られていなかったCドメイン、更にその中の4個のアミノ酸のSer-Ser-Ser-Arg(SSSR)が必要であることを明らかにして来た。昨年度までの研究で、このSSSRによる表皮細胞遊走促進作用には、IGF受容体は関与せず、アンギオテンシンII受容体活性化が必要であることを明らかにしてきた。 本年度は、さらにSSSRがどの様なメカニズムでアンギオテンシンIIのシグナル伝達系を亢進するのかを検討した。表皮細胞をSSSRで処理すると培養液中のアンギオテンシンII の濃度が有意に増加しおり、この増加したアンギオテンシンII が表皮細胞の遊走促進作用を惹起することが明らかになった。このSSSRによる細胞遊走促進作用は、アンギオテンシンI変換酵素(ACE)阻害薬により阻害されたが、レニン阻害薬では影響を受けなかった。アンギオテンシンIはレニン非依存的にも作られることが報告されており、SSSRがレニン非依存的にアンギオテンシンIを増加させているか否かを調べるため、培養液中のアンギオテンシンIの測定を行った。その結果、SSSRはアンギオテンシンI産生を増加させなかった。以上の結果は、SSSRがACEの活性化を介してアンギオテンシンIIのシグナル伝達系を亢進させ、表皮細胞の遊走促進を引き起こしていることが明らかになった。 これらの結果から、IGF-1のCドメイン或いはSSSRがこれまでに知られていない新しい作用機序で創傷治癒を促進していることが明らかとなった。SSSRは局所のアンギオテンシン系のシグナルを介して効果を発揮するため、副作用等はほとんど認められない。今後、新たな創傷治癒促進薬への応用が期待される。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Signaling mechanism underlying the promotion of keratinocyte migration by angiotensin II.2015
Author(s)
Sakai, H., Matsuura, K., Tanaka, Y., Honda, T., Nshida, T., and Inui, M.
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Journal Title
Molecular Pharmacology
Volume: 87
Pages: 277-285
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Involvement of angiotensin II type 2 receptor (AT2R) signalling in human pancreatic ductal adenocarcinoma (PDAC): a novel AT2R agonist effectively attenuates growth of PDAC grafts in mice.2015
Author(s)
Ishiguro, S., Yoshimura, K., Tsunedomi, R., Oka, M., Takao, S., Inui, M., Kawabata, A., Wall, T., Magafa, V., Cordopatis, P., Tzakos, A., and Tamura, T.
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Journal Title
Cancer Biology & Therapy
Volume: 16
Pages: 307-316
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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