2013 Fiscal Year Research-status Report
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25670129
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大池 正宏 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70271103)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | インシリコスクリーニング / 創薬 / TGFβ / 上皮間葉移行 / 阻害薬 |
Research Abstract |
はじめに、産総研が提供する分子シミュレーションシステムmyPrestoと200万個の化合物データベースLigandBoxを演算サーバーCX400にセットアップし、in silicoスクリーニングシステムを構築した。次にTGFβ1蛋白の構造内のII型受容体との結合部位に化合物との結合グリッドを設定し、LigandBox内の各化合物について、結合自由エネルギーを計算してそれが最小となる分子配位をその化合物のスコアとした。得られた200万化合物のスコアを序列化し、結合スコアの上から一括購入によって安価に入手できる2業者の上位化合物を抽出し、計389個を購入した。 TGFβ1、TGβ2、TGFβ3によって肺癌細胞株A549細胞の上皮間葉移行が生じ、これに伴って細胞は敷石状の上皮様密集増殖から線維芽細胞様の非密集増殖へと形態と増殖パターンの変化が生じる。この現象を指標に、選出した化合物がTGFβの作用を抑制するか否かをスクリーニングした。その結果、389個の化合物のうち11個によって0.5ng/ml のTGFβ1によるA549細胞の形態変化が明らかに抑制された。そのうち最も強い効果を認めた2個の化合物(内部コード:KT2025、KT4060)を用い、TGFβ1 による上皮型接着因子E-cadherinの発現抑制への作用をウェスタンブロッティングと細胞免疫染色によって検討した。これらの化合物10μM以上の存在下で、TGFβ1 によって抑制されたE-cadherinの発現の有意な回復と細胞膜上の発現回復を認めた。一方、これらの化合物はTGFβ1 のみでなくTGFβ2とTGFβ3による形態変化とE-cadherinの発現抑制に対しても同程度の回復効果を示した。 従って、これらの化合物の作用はTGFβ1、TGFβ2、TGFβ3の全てに対して非選択的に阻害効果を示すものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、初年度はインシリコスクリーニングシステムのセットアップとそれを用いた計算が主たる検討内容で、ヒット化合物を得るのは2年度になるものとしていた。 初年度に実際の化合物の検討まで行うことができ、さらに11個ものヒット化合物を得たことは、この当初計画を大きく超える達成度であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの達成内容で改善の必要があるものは、ヒット化合物の作用強度と作用の選択性の向上である。今後の研究で、これらの化合物の阻害効果に10μM以上の高濃度が必要な点と、TGFβ1のみでなくTGFβ2とTGFβ3の作用も阻害する点の改善を目指す。 myPrestoの機能に、指定の化合物の構造類似体を検索するdocking score index 法 (DSI法) がある。今後、これまでの検討で見出した最も効果の高いヒット化合物KT4060をプローブとしてDSI法によるインシリコスクリーニングを行い、KT4060 の構造類似体を検索する。次に構想類似性スコアの高い化合物を順に入手してこれまでと同様のin vitroアッセイによる検討を行う。 これにより、作用の強度と選択性が高い化合物を得ることを目指し、当初の研究計画を達成する。
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Research Products
(2 results)