2013 Fiscal Year Research-status Report
プラナリアとヒトの生体内多能性幹細胞の共通機構の解明
Project/Area Number |
25670135
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
出沢 真理 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50272323)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 多能性幹細胞 / 繊維芽細胞 / 間葉系幹細胞 / 結合組織 / 進化 |
Research Abstract |
申請者の見出したMuse細胞は生体内にある多能性幹細胞であり、3胚葉性細胞への分化能と自己複製能を有する。体中の結合組織に散在性に存在し、組織修復作用を担っている。一方、原始的なプラナリアにも結合組織に多能性幹細胞neoblastが存在し、高い再生能を担っている。申請者は、結合組織にある、3胚葉性の細胞に分化する、などの共通点から、「5億年の進化の過程でプラナリアneoblastoが生体内多能性幹細胞システムとしてヒトMuse細胞として引き継がれている」のではないかという仮説のもと検証したところ、驚いたことにneoblast特異的抗体が、ヒトMuse細胞を特異的に認識することを発見した。プラナリアとヒトをつなぐ生体内多能性幹細胞の共通機構を探索する。 H25年の実績は1)プラナリアneoblast特異的抗体による免疫沈降産物を質量分析解析した結果から、250 kDaおよび、>250 kDa程度のHsDj1, 2 mRNAのスプライスバリアント、および後半のExonを主体とするshort formがあることを同定した。2)ヒトMuse細胞でHsDj2とneoblast特異抗体の局在が一部重なること、さらに新たにもう一つの因子が同じ局在を示す可能性を見出した。3) HsDj1、HsDj2の機能同定のためのRNAiベクターを構築し、HsDj2遺伝子の機能を調べた。それぞれのバリアントを、また全てのバリアントを抑制できるようなRNAiベクターを別個に構築した。導入効果は現在検証中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおよそ当初の計画通りに進んでいる。ただ、培養細胞であるfibroblastsや骨髄間葉系幹細胞から分けられたMuse細胞と非Muse細胞での発現量、因子の細胞内局在では大きな差が見られない傾向があり、このために実験が少々難航している。培養細胞は生体内にある状態から大きく外れるため、むしろ組織レベルのin vivoでのHsDjの局在を検証するなど、アプローチを少し変更する必要があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の結果を踏まえ実験系を構築する。 4)HsDj1、HsDj2のRNAiベクターの導入による機能抑性実験:H25年度に構築したHsDj1、HsDj2のRNAiベクターをヒトMuse細胞に導入し、HsDj1、HsDj2がヒトMuse細胞において多能性維持に関わっているかを検証する。Kuroda et al., PNAS 2010で発表したsingle cell suspension cultureにおける一細胞から特徴的な多能性細胞塊(クラスター)の形成の有無や形成率を求める。またAlkaline phosphatase陽性反応の有無の他に、Nanog, Oct3/4, Sox2, Cdx2などの多能性因子の発現の変化を定量PCR, single cell PCR、immunocytochemistry、Western blotで行う。さらに3胚葉性細胞への分化能と自己複製能を検討する。 5) HsDj1とHsDj2との相互作用の解析:H25年で同定したHsDj1複合体とHsDj2スプライシングバリアントに対してHsDj2抗体を用いて免疫沈降し、タンパク質複合体を質量分析解析することによって、HsDj2がHsDj1複合体と相互作用しているかどうかを調べる。 6) Muse細胞の休止状態(Dormancy)におけるHsDj1、HsDj2の機能同定と進化的な観点からの考察:同定したヒトMuse細胞に特異的なマーカー遺伝子候補に関して、対応するマウス遺伝子の抗体を用いて、マウス組織および間葉系細胞を免疫染色し、マウスMuse細胞同定を試みる。またプラナリア、イモリ、またより原始的なカイメンにおいて、in situ hybridizationを行い、どのような細胞が染色されるかを調べる。その共通点あるいは相違点に関して進化的な観点から考察をする。
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Research Products
(36 results)
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[Journal Article] Transplantation of bone marrow stromal cell-derived neural precursor cells ameliorates deficits in a rat model of complete spinal cord transection.2013
Author(s)
Aizawa-Kohama M, Endo T, Kitada M, Wakao S, Sumiyoshi A, Matsuse D, Kuroda Y, Morita T, Riera JJ, Kawashima R, Tominaga T, Dezawa M.
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Journal Title
Cell Transplant.
Volume: 22(9)
Pages: 1613-25
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Autologous engraftment of A9 dopaminergic neurons induced from mesenchymal stem cells in parkinsonian rhesus macaques.2013
Author(s)
Hayashi T, Wakao S, Kitada M, Ose T, Watabe H, Kuroda Y, Mitsunaga K, Matsuse D, Shigemoto T, Ito A, Ikeda H, Fukuyama H, Onoe H, Tabata Y, Dezawa M.
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Journal Title
J. Clin. Invest.
Volume: 123(1)
Pages: 272-84
DOI
Peer Reviewed
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