2014 Fiscal Year Research-status Report
ハダカデバネズミの長寿・癌化耐性と集団内利他的社会性をもたらすゲノム安定性の解明
Project/Area Number |
25670148
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三浦 恭子 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 講師 (80583062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 厚志 岩手医科大学, その他部局等, 教授 (30327655)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ハダカデバネズミ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ハダカデバネズミのゲノム安定性に着目した研究である。 H26年度は、昨年に引き続き、細胞レベルでのハダカデバネズミのDNAの安定性に関する実験を中心に進めた。線維芽細胞を用いて、ブレオマイシン・マイトマイシンCによりDNA傷害を加えた後の細胞の挙動に関して、マウス線維芽細胞との種間比較を進めた。結果として、今回の薬剤処置では、放射線照射後に見られた核の変型度合の差異などの種間差は認められなかったが、濃度による可能性もあり引き続き検討が必要である。しかしながら本解析の結果として、ハダカデバネズミではDNA傷害後の細胞応答性が特殊化しており、個体の恒常性維持機構にも関与すると考えられるデバ特異的な細胞フェノタイプが生み出されることが明らかとなった。 同時に、DNA傷害応答に関与するgene Xについて、ハダカデバネズミの遺伝子配列に種特異性・機能差が存在することを見出し、詳細なin vitroでの機能解析を進めている。また、マウスのgene Xをデバ型にしたES細胞・遺伝子改変マウスを作出するための準備として、gene Xを含む領域のマウスBACの改変を完了した。 個体レベルでのゲノムDNAの安定性の評価のため、野生ハダカデバネズミのゲノムDNAの採取をアフリカで行うことを予定していたが、ケニア・ソマリアのハダカデバネズミ生息地の治安がさらに悪化している状況であるため、野生ハダカデバネズミサンプルの採取は、中止することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞内の解析については、ハダカデバネズミ特異的なDNA傷害後の種特異的な細胞応答機構を見出すことができた。また、DNA傷害応答に関与する遺伝子Xについて、種間比較を行った結果、ハダカデバネズミにおける配列・機能の特殊性を見出すことが出来た。 アフリカでのサンプル採取は中止することになったが、上記のin vitroの解析が順調に進展し、結果が出ているため、本研究は概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
DNA傷害後のハダカデバネズミ特異的な応答性に関しては、メカニズムの解明とin vivoでの検証をさらに進める。細胞応答性DNA傷害応答に関与するgene Xについて、in vitroでさらに詳細な機能解析を進め、有効と判断された場合は、ES細胞の改変と、gene Xをハダカデバネズミ型にした遺伝子改変ハダカデバネズミ化マウスの作出を行う。
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