2013 Fiscal Year Research-status Report
抗体遺伝子可変領域に選択的に体細胞突然変異が導入される機序の解明
Project/Area Number |
25670150
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
新藏 礼子 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 教授 (50362471)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 抗体 / 体細胞突然変異 / AID / DNA修復 |
Research Abstract |
抗体遺伝子の可変領域(V領域)に起こる体細胞突然変異は高親和性の抗体を得るのに必須の現象である。すぐ下流の定常領域(C領域)よりなぜV領域に高率に突然変異が挿入されるか、その機序は不明である。AID(activation-induced cytidine deaminase)は体細胞突然変異とクラススイッチの両方に必須の分子であるが、我々はAIDのN末が体細胞突然変異特異的なドメインであることをAID-G23Sノックインマウスで証明した。G23S変異体の脱アミノ化酵素活性は保持されているので、AIDのN末と相互作用する補因子が重要と考える。野生型AIDとG23S変異体に結合する蛋白質の比較から体細胞突然変異特異的補因子を同定し、V領域に体細胞突然変異が選択的に起きる制御機構を明らかにし、新たな抗体エンジニアリングの技術開発につなげる。具体的な方法として、体細胞突然変異特異的補因子同定のため、効率よく体細胞突然変異を検出誘導する実験系(293T細胞)を使って免沈により野生型AIDとG23S変異体におのおの結合する蛋白質の比較を行う。 上記の目的に従い、25年度は、AID蛋白と共沈する多くの蛋白質の中で、突然変異に関与すると思われる蛋白質複合体を免疫沈降で得る条件を見つけることに重点を置いた。我々はマウスのパイエル板から胚中心B細胞と非胚中心B細胞をソーティングした。これらの細胞からRNAを抽出し、マイクロアレイなどのデータから胚中心B細胞特異的に強発現しているDNA切断酵素Xを候補分子として見つけた。X、AIDとDNA修復酵素群が共沈する条件を確立した。今後、AIDとG23Sの免疫複合体の解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
AIDを含む体細胞突然変異に関与すると考えられる蛋白複合体の取得のための免疫沈降の条件検討に予想以上の時間が必要であったため。
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Strategy for Future Research Activity |
AIDを含む体細胞突然変異に関与すると考えられる蛋白複合体の取得のための免疫沈降の条件が定まったので、研究計画に記載通りに体細胞特異的補因子の検索を行う。 また、上記の胚中心B細胞に強発現していることが明らかになったDNA切断酵素XはAIDと独立に働く可能性も考えられるので、これについてはAIDと分離してDNAとの相互作用などを調べる予定である。
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