2013 Fiscal Year Research-status Report
糖、脂質代謝調節における核膜孔複合体の役割~新しい分子制御モデルの提唱~
Project/Area Number |
25670159
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
北村 忠弘 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (20447262)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | O-グリコシレーション / ChREBP / 核膜孔複合体 |
Research Abstract |
糖尿病、高脂血症、脂肪肝といった代謝疾患は糖、脂質代謝調節の障害から発症する。ChREBPは解糖系と脂質合成系に関わる酵素の発現量を調節する重要な転写因子であるが、その調節メカニズムについては不明な点が多い。申請者は高グルコースでChREBPがO-グリコシレーションされることを見出しており、本研究課題においては、まずその生理的意義の解明を試みた。初代培養肝細胞を用いて、ChREBPのタンパク質修飾を検討した所、高グルコースにより強くO-グリコシレーション修飾を受けることが明らかとなった。ChREBPのO-グリコシレーションはO-GlcNAc transferase(OGT)によって惹起され、siRNAによってOGT をノックダウンすると、高グルコースによるChREBPのO-グリコシレーションは抑制された。逆にChREBPのO-グリコシレーションはO-GlcNAcase(GCA)によって抑制された。さらにChREBPがO-グリコシレーション修飾を受けることで、ChREBPのユビキチン化が低下し、その結果としてChREBPのタンパク量が増加することを明らかにした。一方、ChREBPの新規結合タンパクを質量分析法で探索したところ、グルコース濃度依存性に核膜孔を構成する複数のタンパク質と結合することを見出した。これらの核膜孔複合体タンパクのうち、Nup358、Nup153、Nup62を特異抗体を用いたウエスタンブロット法にて同定した。現在、培養肝細胞を高グルコースやインスリンで刺激し、ChREBP、Nup358、Nup153、Nup62などの発現量とタンパク修飾をウエスタンブロット法と定量RT-PCRで検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたChREBPのO-グリコシレーションの生理的意義の解明について、培養肝細胞を用いて有意義な結果を得られた。また、ChREBPと結合する核膜孔複合体について、Nup358、Nup153、Nup62といった分子を特異抗体を用いたウエスタンブロット法にて同定した。今後の検討につながる結果を得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はアデノウイルスやsiRNAを用いて、ChREBPや核膜孔複合体タンパクの過剰発現やノックダウンを行い、肝細胞内の脂肪蓄積量の変化をOil red O染色や中性脂肪の定量により検討する予定である。また、糖、脂質代謝に関わる種々の酵素の発現量を定量RT-PCR法を用いて検討する。さらに、実験動物を用いた解析としては、野生型マウスを絶食、再摂食させた場合、または高脂肪食で飼育した場合、あるいは重度の糖尿病、脂肪肝を発症しているdb/dbマウスの肝臓におけるChREBPと核膜孔複合体タンパクの発現量や細胞内局在、タンパク修飾を解析する予定である。
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