2013 Fiscal Year Research-status Report
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25670163
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
門松 健治 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80204519)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 自然退縮 / がん / 神経芽腫 |
Research Abstract |
自然退縮はがんの不可思議な現象の一つである。成人がんにもまれに見られるが、小児がん神経芽腫で最も特徴的であり、特に1期および4期に見られる。自然退縮の機構解明は治療応用に直結する重要テーマであるが、現実にはこれまで糸口さえ得られていない。我々は神経芽腫のモデルMYCN Tgマウスに、ヒト神経芽腫1期の自然退縮に酷似した表現型が出現することを見出した。すなわち、生後2週全例で局所に限局した早期がんが現れるにも関わらず、その7割しかがん進展はなく、残りの3割は生後6週までに自然退縮する。さらに生後2週の早期がん全例のsphere cultureに成功した。これは、「これまでで初めての自然退縮モデル」と「自然退縮直前のがん細胞」を得たことを意味する。この基盤を生かして、本研究で自然退縮の分子機構を明らかにすることを目的とした。 本年度は特に、遺伝子発現、変異のシステマティックな解析のために、早期がんtumorsphereに加えて、胎生期の交感神経節からもMYCN Tgマウスでsphereを作ることに成功した。一方、野生型でもsphere形成は起こるのだが、MYCN Tgマウスからのsphereのみが継代でき、しかも腫瘍形成能があることが分かった。すなわち、少なくともこのモデルでは予想よりもずっと早くから癌化が始まっていることが示唆された。以上の状況から胎生期E13.5~生後2週~末期腫瘍の3点を材料にゲノム、エピゲノム、トランスクリプトームのレベルでの詳細な解析が神経芽腫のがん発生過程解明に繋がり、その基盤の上に自然退縮機構を見出せると考えた。そして、これらの材料を揃え次年度解析を解析できる状況にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
元来、小児がんはdriver gene mutationと言われるがん遺伝子あるいはがん抑制遺伝子の変異が極めて少ないことで知られている。神経芽腫はその代表格の一つで、次世代シークエンサーの解析でも約7割の症例には変異は見つからない。それなのに何故がんができるのか、あるいはその後に自然退縮が起こるのか、何も分かっていない。これまで自然退縮に関してはcell autonomousな理由によるもの(例えばあらかじめ細胞にプログラムされた機構)か、微小環境によるもの(例えばNGFのような成長因子の年齢依存的な枯渇)を想定してきたが、そもそもそれを検証するための細胞の確立はできていなかった。今年度、「胎生期の交感神経節からもMYCN Tgマウスでsphereを作ることに成功した」意義は大きい。というのもこのsphereは継代ができるうえに同系統マウス皮下に移植して腫瘍を作ることができる。この特徴は野生型胎仔からのsphereでは見られない。すなわち、野生型胎仔からのsphereは初代のみ培養可能であり、腫瘍形成能はない。今年度はさらに、我々が確立したsphere培養法をもちいて調整した細胞について今後の解析に耐えるだけの量を準備できた。胎生期E13.5~生後2週~末期腫瘍の3点についてゲノム、エピゲノム、トランスクリプトームのレベルでの詳細な解析が進めば、神経芽腫のがん発生過程解明、自然退縮機構解明に繋がる大きな成果を期待できる。すなわち、「自然退縮の分子機構を明らかにする」ことを目的とした本研究は大きく前進した。従って、本年度の研究は期待通りの十分な進捗があったと評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度準備したsphere細胞を材料に、ゲノム、エピゲノム、トランスクリプトームのレベルでの詳細な解析を行う。そして、その結果候補として同定された遺伝子群の機能解析、その細胞・個体レベルでの自然退縮誘起の証明へと繋げていきたい。具体的には、まず、データ解析にはバイオインフォマティクスを駆使したい。それによってデータの統合を図り、自然退縮 対 がん進展(3対7)に注目して自然退縮制御遺伝子群の同定を行いたい。候補となる遺伝子異常・遺伝子発現について、早期がんtumorsphereのうち、自然退縮の可能性のあるtumorsphereの遺伝子あるいは遺伝子発現を改変して、自然退縮を回避できるかをゴールにする。その評価は下記の「早期がんtumorsphere長期培養」および「Orthotopic transplantation」2つのアッセイで行う。また、これと相補的な実験、すなわち、自然退縮の起きない早期がんあるいは進行がんのtumorsphereの遺伝子あるいは遺伝子発現を改変して、自然退縮の誘導をもう一つのゴールとする。 (1) 早期がんtumorsphere長期培養:「自然退縮がcell autonomous」である場合、このアッセイは(1)の評価系として有用となる。 (2) Orthotopic transplantation:これまでの予備データから、早期がんのがん幹細胞は厳密なnicheを要求する可能性が高い。そこで副腎髄質にorthotopic transplantationを行い、評価系として用いる。また、進行がんにEGFP発現のtumorsphereを移植する方法も代用法として有効であると考えている。
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[Journal Article] Midkine overcomes neurite outgrowth inhibition of chondroitin sulfate proteoglycan without glial activation and promotes functional recovery after spinal cord injury.2013
Author(s)
Muramoto A, Imagama S, Natori T, Wakao N, Ando K, Tauchi R, Hirano K, Shinjo R, Matsumoto T, Ishiguro N, Kadomatsu K.
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Journal Title
Neurosci Lett.
Volume: 550
Pages: 150-155
DOI
Peer Reviewed
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