2013 Fiscal Year Research-status Report
モザイク状細胞死誘導マウスを用いた代償性増殖機構の解明
Project/Area Number |
25670167
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
中野 裕康 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70276476)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | cFLIPs / アポトーシス / ネクロプトーシス / 腸炎 / トランスジェニックマウス / 代償性増殖 / RegIII |
Research Abstract |
ヒトcFLIPs遺伝子をX染色体で選択的に発現するトランスジェニック(Tg)マウスを樹立したところ、Tg陽性の♂マウスは全ての個体が胎生致死となるのに対して、♀の個体の多くは正常に出生し、妊娠もすることが明らかとなった。組織学的な解析からは、ユビキタスなプロモーターであるCAGプロモーターを用いてcFLIPs遺伝子を発現させているにもかかわらず、胎生18.5日目の♂Tgおよび♀Tgでは、腸管上皮細胞が選択的に細胞死に陥り、脱落している事が明らかとなった(♀に比べて♂の変化は重篤であった)。活性化型カスパーゼ3抗体による免疫染色や電子顕微鏡の所見から、死んだ上皮細胞には活性化型カスパーゼ陽性のアポトーシスに陥った細胞とネクローシスに陥った細胞の両者が存在することが明らかとなった。興味深いことにこれらの♂の胎生致死の表現型は、完全ではないものの♂Tgマウスをネクロプトーシスの実行因子として考えられているRIPK3欠損マウスと交配することで抑制され、さらに腸管上皮細胞死も抑制された。このことはcFLIPsの過剰発現がin vivoでRIPK3依存性の細胞死を誘導していることを示している。 また増殖に関与するRegIIIbやRegIIIgの腸管の免疫染色を行ったところ、野生型マウスの胎生期には通常では陽性とならないこれらの両分子ともTgマウスでは発現していることを見出した。♀Tgの個体は、胎生期に腸管上皮細胞死が認められるにもかかわらず、出生後は正常に発育し、腸炎等の症状を呈さないことを考慮すると、胎生期に死細胞から何らかの増殖因子が放出され、代償性増殖機構が働いていると考えられる。そこで♀胎生期の腸管を用いてマイクロアレイ解析を行ったところ、複数の増殖因子の発現が上昇していたことから、現在その候補遺伝子の絞り込みをおこなっているところである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当該年度において予定していた以下の全ての研究は既に終了し、死んだ腸管上皮細胞から放出され、代償性増殖に関与する因子の同定の最終段階にきていることから、予想以上に計画は進捗していると考えられる。 1) RIPK3欠損マウスとcFLIPs X-Tgマウスとの交配 2) timed matingを行い、cFLIPs X-Tgマウスの致死の原因の解明 3) 代償性増殖に関与するRegIIIb, gの免疫染色と陽性細胞の同定 4) 腸管を用いた活性化型カスパーゼ3に対する免疫染色と電子顕微鏡による観察 5) cFLIPs X-Tgマウスの腸管を用いたマイクロアレイによるゲノムワイドなトランスクリプトーム解析
|
Strategy for Future Research Activity |
トランスクリプトーム解析の結果、腸管上皮細胞から放出され、代償性増殖に関与する遺伝子の候補は複数同定できたものの、どの因子が最終的に重要なのかを絞り込むのが最重要の課題であると言える。そのために候補となった遺伝子産物に対する抗体が必ずしも利用できないことから、in situ hybridizationを行い、腸管上皮死細胞に高発現している因子に絞り込む予定である。絞り込んだ因子については遺伝子欠損マウスを入手あるいは、独自に樹立し、代償性増殖における役割を明らかにする。 さらにcFLIPs X-Tgマウスで、細胞死が誘導されるメカニズムを明らかにするために、抗Flag抗体(トランスジーンしたcFLIPsはN末にFlagタンパク質との融合タンパク質として発現するため)でcFLIPs分子を免疫沈降し、共沈してくる分子を同定する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
cFLIPs X-Tgマウスは♂が致死なことから繁殖状態が不良であったが、優先的に実験に使用していたために、RIPK3欠損マウスと交配したマウスの腸管を用いたマイクロアレイの解析ができなかったため。 現在はRIPK3欠損マウスと交配したcFLIPs X-Tgマウスの腸管のRNAは既に取得しており、今年度にマイクロアレイ解析を行う予定である。
|
Research Products
(17 results)
-
[Journal Article] The adaptor TRAF5 limits the differentiation of inflammatory CD4(+) T cells by antagonizing signaling via the receptor for IL-6.2014
Author(s)
1. Nagashima, H., Okuyama, Y., Asao, A., Kawabe, T., Yamaki, S., Nakano, H., Croft, M., Ishii, N., and So, T.
-
Journal Title
Nat Immunol
Volume: 15
Pages: 449-456
DOI
Peer Reviewed
-
[Journal Article] Disruption of Tumor Necrosis Factor Receptor Associated Factor 5 Exacerbates Pressure Overload Cardiac Hypertrophy and Fibrosis.2014
Author(s)
Bian, Z., Dai, J., Nakano, H., Guan, H., Yuan, Y., Gan, L., Zhou, H., Zong, J., Zhang, Y., Li, F., Yan, L., Shen, D., Li, H., and Tang, Q.
-
Journal Title
J Cell Biochem
Volume: 115
Pages: 349-358
DOI
Peer Reviewed
-
[Journal Article] Tumor Necrosis Factor Receptor Associated Factor 5 is an Essential Mediator of Ischemic Brain Infarction.2013
Author(s)
Wang, L., Lu, Y., Guan, H., Jiang, D., Guan, Y., Zhang, X., Nakano, H., Zhou, Y., Zhang, Y., Yang, L., and Li, H.
-
Journal Title
J Neurochem
Volume: 126
Pages: 400-414
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
[Journal Article] Hyperosmotic stress regulates the distribution and stability of myocardin-related transcription factor, a key modulator of the cytoskeleton.2013
Author(s)
Ly, D. L., Waheed, F., Lodyga, M., Speight, P., Masszi, A., Nakano, H., Hersom, M., Pedersen, S. F., Szaszi, K., and Kapus, A.
-
Journal Title
Am J Physiol Cell Physiol
Volume: 304
Pages: C115-127
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-