2013 Fiscal Year Research-status Report
乳癌病理組織検体を用いてエストロゲン受容体ヘテロ/ホモダイマーの検出は可能か否か
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25670174
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
笹野 公伸 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50187142)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | エストロゲン受容体 / 二量体 / 近接ライゲーションアッセイ / 乳癌 |
Research Abstract |
Estrogen receptor(ER)は、ホモダイマーを形成して作用することが知られている。ダイマーの検出法としては、Re-Chip法やBRET法が知られているが、顕微鏡下でダイマーを可視化した報告はこれまでにない。本研究では二分子間の相互作用を検出する方法である近接ライゲーションアッセイ (PLA: Proximity Ligation Assay) 法を用いて、乳癌組織におけるERダイマーの検出を行った。ERはERαとERβのサブタイプが存在するが、今回はERαのホモダイマーに注目して、その検出を試みた。 乳癌培養細胞MCF-7、T-47D(以上ERα陽性)、MDA-MB-231(ERα陰性)を用い、セルブロック(フィブリンクロット法、ホルマリン固定・パラフィン包埋)を作製した。さらにMCF-7に、エストロゲンおよびER blockerを添加し、同様にセルブロックを作製した。PLAを施行し、蛍光顕微鏡にてドット・シグナルを確認した。MCF-7およびT-47DではERαダイマーを示すドット状のシグナルが検出されたが、MDA-MB-231では検出されなかった。エストロゲン添加MCF-7では、エストロゲン濃度(10p, 100p, 1n, 10nM)依存性にERαダイマーの増加が検出された。また、そのシグナルはER blockerの添加によって検出されなくなった。今回の検討では、PLA技術を用いてERダイマーを顕微鏡下で可視化する方法を構築することができた。また、この方法はホルマリン固定やパラフィン包埋による影響を受け難いことから、さらに外科病理標本を用いた検討へと展開することが可能であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画予定の近接ライゲーションアッセイ(PLA)法によるエストロゲン受容体(ER)ダイマーの検出・可視化技術の構築は、その成果から十分に達せられたと判断している。また、エストロゲン添加実験は次年度以降に計画をしていたが、本法の確立のために早急に検討する必要性を感じ、先に実施した。結果、本技術の評価を慎重かつ十分に行うことができ、計画以上の進展があったと考えている。一方で、Cos-7細胞を用いたER遺伝子導入実験の着手が送れ、本年度にその結果を報告することができなかったが、既にER遺伝子導入細胞の作成は済んでいるため、次年度以降速やかに検討を行うことができる。また、既に乳癌外科病理標本(ホルマリン固定・パラフィン包埋)の検討も既に着手している。以上の成果から、今年度の本検討課題については「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
Cos-7細胞を用いたER遺伝子導入実験の評価を引き続き行う。また、乳癌外科病理標本を用いてPLAによるERダイマーの検出を行い、シグナルの強度(ドットの数)を評価し、その強度と臨床病理学的因子との関連を解析する。さらに当初計画通りに、乳癌におけるERの二量体の発現パターンによるエストロゲン応答遺伝子プロファイルの差異について検討する。この検討では乳癌未固定凍結組織を用いる必要があることから、凍結組織とホルマリン固定・パラフィン包埋組織のERダイマー検出の差異を十分に検討しておく。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] The effect of preoperative chemotherapy on ER, PR, HER2 and Ki-67 expression in metastatic lymph node of breast cancer
Author(s)
Keiko UCHIDA, Yukiko SHIBAHARA, Yasuhiro MIKI, Shuko HATA, Erina IWABUCHI, Noriko NEMOTO, Takanori ISHIDA, Noriaki OHUCHI, Hironobu SASANO
Organizer
第72回日本癌学会学術総会
Place of Presentation
パシフィコ横浜(横浜市)