2013 Fiscal Year Research-status Report
HNF-1βによる卵巣明細胞腺癌の早期血清診断法確立と新規分子標的薬開発への展開
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25670179
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
梶田 咲美乃 北里大学, 医学部, 講師 (60194734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三枝 信 北里大学, 医学部, 教授 (00265711)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | HNF-1β / 卵巣明細胞癌 / 卵巣子宮内膜症性嚢胞 / 腫瘍分化・増殖様式 / NF-κB |
Research Abstract |
本年度は、卵巣明細胞癌(OCCC)の外科的切除検体を用いて、形態学的および免疫組織学的にHNF1β発現の意義を検索した。 HE標本で、OCCCを核異型(G1,2,3),増殖形態(非充実型、充実型)の観点から分類し、HNF-1β発現との関連性を検索した。その結果、HNF-1βは、軽度の核異型および非充実型の増殖パターンと統計学的に有意な関連性を示した。更に、細胞増殖マーカーであるKi-67発現と負の相関を示す傾向が認められた。 多くのOCCCは、卵巣の子宮内膜症性嚢胞を背景に発生するため、内膜症性嚢胞上皮における検索も行った結果、HNF-1βはその嚢胞上皮で既に発現が確認できた。一般に、内膜症性嚢胞は、繰り返す出血・炎症により炎症性サイトカインであるNF-κB系が活性化していることが想定されたため、リン酸化型NF-κB発現を検索したところ、著明な発現亢進を認め、さらにHNF-1βとの相関も認められた。同様の相関関係は、OCCCでも確認できた。 以上から、OCCCにおいて、HNF-1β発現は、腫瘍分化・増殖様式制御に関与し、その発現は、発癌の早期にNF-κB系を介して誘導する可能性を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床検体の検索で、免疫組織学的検索法の再現性の確認に時間を割いたため、予定よりやや遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、臨床検体で得られた結果を、培養細胞を用いて検証する。すなわち、HNF-1β発現のNF-κB系よる制御機構を、NF-κB系活性によるHNF-1β発現を、プロモーター(レポーターアッセイやChIPアッセイ)、mRNAやタンパクレベル(RT-PCR法やwestern blot法)で検索する。また、その機能解析を、細胞増殖制御の観点から、細胞周期やアポトーシスとの関連性を踏まえて検索する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初は、免疫組織学的検索に加えて、培養細胞を用いた分子生物学的検索を併用する予定で予算申請を行いましたが、前者の再現性の検証に時間がかかり、後者の費用が少なかったため。 全体的な研究計画の遅れを取り戻すため、前年度の予定であった分子生物学的検索を可及的に早く行い、遅れを取り戻す予定である。このため、本年度は前年度と今年度の分を合わせた研究費の使用を予定している。
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