2013 Fiscal Year Research-status Report
肝臓の再生および発癌に寄与する肝幹/前駆細胞の実体の解明
Project/Area Number |
25670187
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 稔 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 准教授 (80321909)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 肝幹/前駆細胞 / 肝癌幹細胞 / 肝再生 |
Research Abstract |
重篤な肝障害時に出現するオーバル細胞は旺盛な増殖能と未分化性から肝再生に寄与する幹/前駆細胞(Liver progenitor cell: LPC)と考えられてきた。また、ヒト肝硬変や肝癌においても同様の細胞が出現することから、LPCと肝発癌や癌幹細胞との関連が指摘されてきた。しかし、その肝再生や肝発癌における実際の役割については不明な点が多く残る。本研究では、LPC特異的マーカー分子の1つであるTROP2の遺伝子座にCre リコンビナーゼをKnock-in (KI)したマウスを作製し、細胞系譜解析を行なうことで、肝再生および肝発癌の局面において、LPCが担う役割を明らかにすることを目指している。平成25年度の実績としては実験計画通りTROP2-Cre-KIマウスの作製を試み、その作製に成功した。現在、R26Rレポーターマウスとの交配を行なっており、in vivoでのTROP2発現細胞について解析を進めている。また、in vitroでの肝癌幹細胞の性状解析についても解析を進めている。我々が同定したLPCマーカー分子Xを指標として、LPC細胞株にHeterogeneityが存在することが明らかとなり、 X陽性LPCとX陰性LPCでは形態や運動性に大きな違いがあること、X陽性LPCからX陰性LPCが出現することなどが明らかとなった。現在、各分画の造腫瘍能について検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は本研究課題を遂行する上で必須のツールとなるTROP2-Cre-KIマウスの作製が予定通り完了したことから概ね順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、昨年度に作製したTROP2-Cre-KIマウスを用いて、様々な肝障害モデルにおけるTROP2発現細胞の細胞系譜実験を行ない、LPCと肝再生との関連について明らかにする。さらに、肝癌幹細胞の性状解析では、担癌マウスによるin vivoでの解析を進めることで、再生と癌化におけるLPCの役割を明らかにしていきたいと考えている。
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