2015 Fiscal Year Annual Research Report
胃癌発生におけるIL-33の役割 -新規モデルマウスを用いた解析-
Project/Area Number |
25670191
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
中山 淳 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (10221459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角田 茂 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (80345032)
高本 雅哉 信州大学, 医学部, 特任教授 (90226928)
川久保 雅友 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (70397305)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 胃癌 / 炎症 / 糖鎖 / サイトカイン / ダブルノックアウトマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
胃の腺粘液に特徴的な糖鎖であるαGlcNAcを欠損したA4gntノックアウト (KO)マウスはピロリ菌が感染していなくても胃粘膜に炎症が生じ、自然に分化型胃腺癌を発生するユニークな疾患モデルである。A4gnt KOマウスの網羅的遺伝子発現解析から、新しいサイトカインであるIL-33並びにその受容体構成分子ST2の胃癌発生への関与が示唆された。平成27年度は平成26年度から引き続き、A4gnt/Il1rl1 ダブルKO (DKO)マウスの解析を行った。10週齢のA4gnt/Il1rl1 DKOマウスとA4gnt KOマウス(それぞれn = 6)を対象に胃粘膜の病理所見を比較した結果、何れも軽度異形成を示しており、両者に明かな違いは認められなかった。しかしながら、胃粘膜から抽出したmRNAに対して遺伝子発現解析を行った所、A4gnt/Il1rl1 DKOマウスではA4gnt KOマウスと比較し、Il33、Fgf7、Ccl2、Grem1に加えて、M2マクロファージに特徴的なArg1が有意に低下していた。この結果はIL-33/ST2シグナルがA4gnt KOマウスの胃粘膜に生じた向腫瘍性炎症を抑制している可能性を示唆している。現在、A4gnt KOマウスにおいて分化型胃癌の発生が認められる50週齢まで加齢させた実験群の準備を進めている。一方、IL-33/ST2シグナルのより詳細な解析を行うため、CRISPR/Cas9法を用いて新たにA4gnt/Il33 DKOマウスの樹立を試み、その系統化に成功した。胃癌発生におけるIL-33/ST2シグナルの役割を解明すべく、これら遺伝子改変マウスを用いて引き続き解析を行う予定である。
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