2013 Fiscal Year Research-status Report
ES/iPS細胞の腫瘍化を克服し再生医療応用を実現するベクター技術の開発
Project/Area Number |
25670194
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
小戝 健一郎 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (90258418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
王 宇清 鹿児島大学, 産学官連携推進センター, プロジェクト研究員 (20505143)
三井 薫 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (40324975)
伊地知 暢広 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (80380624)
入江 理恵 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (90381178)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 再生医学 |
Research Abstract |
ヒトES細胞、iPS細胞の臨床応用において、安全性確保、中でも「腫瘍化克服」は最重要課題であるが、これまでの取組みはリプログラミング法の改良による腫瘍化抑制に過ぎない。本研究は、革新的な癌遺伝子治療技術として研究者が独自開発したm-CRAベクター作製技術を異分野の幹細胞再生医学に応用することで、腫瘍化ES/iPS細胞を標的治療するm-CRAベクターを開発して本問題を克服するというものである。 つまり、癌遺伝子治療では、癌特異的増殖型アデノウイルス(CRA)の開発が期待されており研究代表者は「多因子で精密に目的細胞(癌)を特異化、治療できる」m-CRAという次世代ベクターの開発に成功した。研究代表者が開発して医師主導治験を目指しているSurvivin反応性m-CRA(Surv.m-CRA)は、ほぼ全癌種で高発現しているSurvivin遺伝子をプロモーターに用いており、癌細胞特異的にウイルス増殖とウイルス蛋白による癌細胞死が誘導される。ヒトES/iPS細胞の未分化状態でのSurvivinの役割は報告がなかった。そこで我々は、ヒトES/iPS細胞の未分化状態でのSurvivinプロモーター活性が高いこと、Surv.m-CRAがES/iPS細胞の未分化細胞を殺傷できることを見出したものである。 よって今回、「ES/iPS細胞の腫瘍化細胞(未分化細胞、癌化細胞)特異的なプロモーター」を新たに探索、あるいは性能を解析し、より最適のm-CRAを開発するものである。今年度は特に、このプロモーターの探索、解析を行ってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)Survivin promoterも有望だが、m-CRAに導入する「ES/iPS細胞の腫瘍化細胞(未分化細胞、癌化細胞)特異的なプロモーター」自体は、より完全な特性(未分化、癌化で極めて高活性だが各分化状態の程度で活性消失)を持つ遺伝子プロモーターを同定できたらさらに理想的である。よって、ES/iPS細胞の未分化状態、各分化段階の状態、ならびに癌幹細胞で、DNAマイクロアレイ解析などの網羅的解析を行っているところである。 2)候補プロモーターは、1)の網羅的解析で絞ってからm-CRA作製するのでは時間がかかるという面もある。よって、自らが候補と考えるいくつかの遺伝子プロモーターに関しては、幹細胞ならびに癌幹細胞での特性を一部調べていった。
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Strategy for Future Research Activity |
1)前述のプロモーターをP1プラスミドに挿入し、また感染細胞を可視化できる様にEGFPを挿入し、我々のシステムでm-CRAを迅速に作製する。 2)これらのm-CRAをES/iPS細胞の未分化状態、各分化段階の状態、癌幹細胞にin vitroで感染させ、ES/iPS細胞の未分化状態と癌幹細胞では高率なウイルス増幅で強力に殺傷し、分化が進むにつれウイルス増幅が阻止され細胞傷害をしないm-CRAを、特性解析して同定する。ウイルス増殖が止まる段階も分化段階で様々であることが想像されることから、それぞれ目的によって有用と思われる。 3)これらのm-CRAを、ある程度分化した段階でES/iPS細胞にin vitroで感染させ、それをSCIDマウスに移植することで、奇形種や癌化がどのくらい抑えられるか検証する。ここまでで、最適なm-CRAが二、三個に絞られると推察する。 4)最終的に一つの前臨床研究モデルとして、心筋細胞を分化させ、2)と同様のin vitroでの腫瘍化原因細胞の特異的殺傷を確認する。また期間内にできるようであれば、心臓への細胞移植実験を、実際の同所(心臓への)移植モデルで数例だけでも行ってみる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究自体は基本的に計画どおり順調に進んでいるが、網羅的解析にはその材料調整や実験条件の設定でどうしてもある程度の時間を要する。 よって、その一部の実験は次年度にわたって実施するほうが研究全体の推進に役立つため、その分の使用額を次年度に繰り越すこととした。 上記のように平成25年度の網羅的解析の一部を継続して行い、その研究に繰越経費を使用する。
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