2013 Fiscal Year Research-status Report
ヒト化マウスをもちいたウイルス特異的原発性免疫不全症の疾患モデル
Project/Area Number |
25670198
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
藤原 成悦 独立行政法人国立成育医療研究センター, その他部局等, その他 (30173488)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | EBウイルス / XIAP欠損症 / ヒト化マウス / 血球貪食性リンパ組織球症 / サイトカイン |
Research Abstract |
EBウイルス(EBV)感染により血球貪食性リンパ組織球症を発症するXIAP(X-linked inhibitor of apoptosis)欠損症の患者2名よりインフォームドコンセントを取得し、骨髄細胞を採取した。これよりCD34+造血幹細胞をポジティブセレクション法により分離し、それぞれの患者由来の幹細胞をもちいて3頭ずつのNOGマウスに移植した。移植後6-8ヶ月の時点でこれらのヒト化マウスの末梢血中ヒト細胞の割合は0-40%で、個体により大きな違いが認められた。フローサイトメトリーによりCD19+, CD3+, CD4+, CD8+の細胞が認められ、B細胞とT細胞がともに分化していることが確かめられた。それぞれの患者由来の3頭のマウスのうち2頭にEBV(約1,000 50% transforming dose)を接種したところ、そのうち2頭のマウスで感染後10週以降に末梢血中EBV DNA量が1×10E+4レベルまで上昇し、感染が確認された。これらの結果は、XIAP欠損症患者の骨髄由来造血幹細胞をもちいてヒト化マウスを作成することが可能であること、このマウスではT細胞とB細胞の分化が認められること、またEBVが感染しうることを示しており、当該疾患の病態をマウスで再現するという当初の目的を達成することが可能であることが強く示唆された。今後はさらに、EBV感染マウスをウイルス学的、病理学的、免疫学的に解析し、血中ヒトサイトカインレベルや血球貪食像の有無について検討を加える予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始後1年以内に稀少疾患であるXIAP欠損症の患者2名から造血幹細胞を採取し、これをもちいてヒト化マウスを作成し、実際にEBVが感染しうることを確認できたことは大きな進展であると考えられる。今後、EBV感染後のマウスの免疫応答について詳細に調べることが可能となったため、当初の目的であるXIAP欠損症における抗EBV免疫応答の異常の再現に着実に近づいていると考えられる。連携研究者からは今後も患者の検査に合わせて、骨髄細胞の提供を受けることが可能であるため、このペースでの研究の継続が可能であると予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
XIAP欠損症患者由来の造血幹細胞をもちいてヒト化マウスの作製が可能であること、このマウスにEBVが感染しうることが示されたため、今後はこの先の事象、即ちEBVに対する免疫応答の詳細な解析を行う計画である。まず、サイトカインアレイを用いて感染後のマウスの血中ヒトサイトカインレベルを解析し、血球貪食性リンパ組織球症に関わるIFN-gammaやTNF-alphaが高値となるかどうかを検討する。また、骨髄などを病理学的に解析し血球貪食像の有無を調べる。さらに、高サイトカイン血症の存在が示された場合は、抗サイトカイン抗体の投与によりマウスの病態に変化が生じるかどうか(治療効果があるかどうか)を検討する。
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