2013 Fiscal Year Research-status Report
トキソプラズマ原虫の潜伏感染誘導トリガー因子の同定
Project/Area Number |
25670199
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
加藤 健太郎 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 特任准教授 (30401178)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | トキソプラズマ原虫 / 潜伏感染 / 全ゲノム遺伝子解析 / 薬剤耐性 |
Research Abstract |
トキソプラズマ原虫はアピコンプレックス門に属する原虫であり、猫科動物を終宿主とする人獣共通感染症である。世界中で高い感染率を示し、妊婦が感染すると、流産や胎児の脳症、痙攣、水頭症、頭蓋内石灰化等を起こす。免疫抑制状態にある場合には重症化して死に至ることもある。ユッケやレバ刺しの食用等の近年の食習慣の変化に伴い、先天性トキソプラズマ症が拡大し、我が国の新生児において年数百件の被害があると推定され、今年になって患者会が設立された。このような状況の中、本研究の目的は、トキソプラズマの潜伏感染への誘導トリガー因子の同定、休眠型虫体のシスト壁の構造解析を通じて、この潜伏感染誘導機構の解明を行うことにある。 本年度は、全ゲノム遺伝子解析を行うことで、トキソプラズマ原虫の潜伏感染誘導関連因子の同定に成功した。化学変異原のENUを投与後、1NM-PP1などの栄養型のトキソプラズマ原虫の虫体を休眠型へと誘導する薬剤を用いて、この薬剤の存在下で長期間培養することで耐性原虫の作出とそれらのクローン化を行った。作出された薬剤耐性クローンの全ゲノム遺伝子解析を行い、特に休眠型への移行シグナルに関わると考えられる原虫PKなどの予想アミノ酸配列について親株との比較解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、全ゲノム遺伝子解析を行うことで、トキソプラズマ原虫の潜伏感染誘導関連因子の同定に成功した。以上のことから、今年度の研究計画はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は比較ゲノム解析によって明らかとなった変異アミノ酸をレスキューした原虫を作製し、その表現型が復帰するか、また、その変異部が休眠型への移行シグナルに関与している可能性があるかも検討する予定である。さらに、休眠型への移行の鍵となる遺伝子を制御するプロモーターの下流に発光蛋白質遺伝子を挿入することで、これをバイオマーカーとして慢性トキソプラズマ症の診断や薬剤スクリーニングに利用できる系の作出を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年10月より研究協力者の一人が病気となり、担当している実験ができなくなったため。 次年度は人材を確保する必要があり、人件費と計上した、また、追加して実験を行う必要があるため、消耗品費を物品費に計上した。研究協力者の中に研究代表者らと異なる場所で研究を実施している者がいるため、研究打合せのための旅費を計上した。
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Research Products
(10 results)