2013 Fiscal Year Research-status Report
結核菌ヒストン様蛋白質の翻訳後修飾による、エピジェネティクス制御の可能性
Project/Area Number |
25670214
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
松本 壮吉 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30244073)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ヒストン / 翻訳後修飾 / 結核 / 抗酸菌 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
真核細胞の染色体を構成するヒストンは、翻訳後修飾により動的に遺伝子発現を調節する。さらに塩基配列の変異に依存しない形質遺伝、すなわちエピジェネティクス制御を担う。一方、細菌のゲノムを構成するヒストン様蛋白質の翻訳後修飾は極めて希である。しかしながら申請者は、ヒトの主要な病原体である結核菌のヒストン様蛋白質に複数の翻訳後修飾が生じることを見いだしている。本研究は、結核菌におけるヒストン様蛋白質Mycobacterial DNA-binding protein 1 (MDP1)の翻訳後修飾が、遺伝子発現の調節を介した、菌の生存や病原性の発現、さらにエピジェネティクスに関与するかを検討し、細菌における新規の細胞機能の制御メカニズムの実証とその機構解明を目的とした研究を実施する。 結核菌MDP1遺伝子をMycobacterium smegmatis のMDP1欠損株に導入し、MDP1タンパク質発現株を作製した。更に、低酸素休眠モデルであるWayneモデルにより、結核菌MDP1発現株の休眠菌を作り出した。これらの菌株を用い、またMDP1 の翻訳後修飾を認識するモノクローナル抗体を用いて、Western blotting を行った結果、MDP1の翻訳後修飾が確認された。さらに、増殖期と休眠期における結核菌MDP1の修飾変化の分析で、大腸菌で発現した組換えMDP1は修飾を認識するモノクローナル抗体で認識されないのに対して、抗酸菌で発現したMDP1は反応が顕著でしかも、潜在菌(増殖期)と活動菌(休眠期)の間に差異が見られた。この結果より、結核菌MDP1が翻訳後に修飾されたことおよび増殖期と休眠期における修飾が異なることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
翻訳後修飾を認識するモノクローナル抗体を作成し、結核菌のヒストン様蛋白質Mycobacterial DNA-binding protein 1 (MDP1)の修飾酵素の活性を検出する系を構築できた。本系を利用して、カラムワークをおこない、抗酸菌体から修飾酵素の粗精製を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
修飾酵素を精製によって同定する系を進めるとともに、組み換えDNA技術を用いた方法も平行して実施し修飾酵素の同定を目指したい。また、翻訳後修飾の生理学的意義を細胞感染時や休眠時にフォーカスして解析していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
所属研究室の移動にともない、研究用物品や内容に変化が生じたため。 特殊カラムなど、酵素の精製にむけ、より分解能の高い高額の研究用品を利用したい。
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