2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25670221
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Microbial Chemistry Research Foundation |
Principal Investigator |
水谷 壮利 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 研究員 (00376617)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | poliovirus / DDS / 血液脳関門 |
Research Abstract |
ポリオウイルス(PV)は、中枢神経系に指向性を示す一本鎖RNAウイルスであり、小児マヒ(ポリオ;急性灰白髄炎)の病因ウイルスである。ヒトに経口感染後、消化管、局所リンパ小組織、血流を介し、血液脳関門(BBB)を透過して中枢神経系に侵入し、神経細胞で増殖することで病原性を示す。PVの体内伝播において、感染(ウイルス複製)はヒトPVレセプター(PVR)の存否で決まるが、PV粒子の血液から脳への移行についての詳細な分子機構については不明である。PVのBBB透過はヒトPVRを持たないnon-Tg(トランスジェニック)マウスでもPV感受性を示すTgマウスと同様に起こることを個体実験の結果から我々は既に報告している。つまりPVは血液中から脳実質部分にPVR非依存的に非常に速い速度で移行する(Yang W et al. J.Virol 1997)。この事実はPVR依存型のウイルス感染に至る経路とは異なるPVの細胞透過(トランスサイトーシス)のみに必要な別経路がマウスに存在していることを意味する。 我々はこれまでの解析の結果、PVのBBB透過に関与する宿主因子の候補としてトランスフェリンレセプター(TfR1)を見出したことから、本研究ではPVのBBB透過におけるTfR1の役割とその詳細な分子機構を解明することを目的とする。PVはマウスには感染しないが、マウスの血中にウイルスを直接投与することで脳への侵入が確認されることから、マウスはPVのBBB透過を解析する動物モデルとして最適である。そこでマウス由来の血液内皮細胞を用いて、PVのBBB透過の細胞側責任因子、およびPV側責任因子の同定を進めている。 初年度の解析の結果、PVおよびトランスフェリンセレプターそれぞれのin vitro結合における欠失変異体解析を通して責任部位の同定を完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の解析の結果、PVおよびトランスフェリンセレプターそれぞれのin vitro結合における欠失変異体解析を通して責任部位の同定を完了した。PVのトランスフェリンレセプターを用いたin vivoの細胞透過性の検討については次年度の検討課題として進める。
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Strategy for Future Research Activity |
PVとTfR1との相互作用、およびその責任部位を生化学的に明らかにした。そこで現在はPVとTfR1との相互作用におけるBBB透過のin vivo解析による生理的機能の解明を進めている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度は実験進捗において試薬類の使用が想定より若干少なくすんだため、 研究費執行において残額が発生した。 当初の申請書内計画に沿って次年度研究費と合算し、消耗品費、旅費等に使用する。
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