2013 Fiscal Year Research-status Report
非完全ランダムプライマーによる網羅的ウイルス検出法の開発
Project/Area Number |
25670271
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 昇太 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (90432434)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 応用ゲノム科学 / メタゲノム / 臨床検査学 / 微生物学 / ウイルス学 / バイオインフォマティクス |
Research Abstract |
我々は近年急速に発展している次世代シーケンサーによるメタゲノム解析を応用した感染症診断システム“メタゲノミック診断法”を開発している。この方法では、特異的プライマーや病原体毎に異なる複雑な処理なしに、検体中の核酸を完全ランダムプライマーによる増幅後、網羅的に配列解読し病原体由来遺伝子を検出する。これまでの取り組みから、メタゲノミック診断法の実用化にとって解決すべき課題を見出した。臨床検体中には当然ヒトゲノムが存在し、またトータルRNA からの逆転写産物もrRNA が大量に存在する。これらの遺伝情報が、得られる全体の情報量の多くを占め、検出感度が下がることが1 つの問題である。そこで本研究では最近マラリア原虫の発現解析の改善に使われたNot So Random プライマー(“非”完全ランダムプライマーと意訳する)を、全ウイルス配列をターゲットにして作成する。全ウイルス配列から高頻度に存在するヘキサマーセットを抽出する。また同様の方法でヒトゲノム配列中に頻出するヘキサマーやrRNA 配列中に存在するヘキサマーセットを抽出する。これらのヘキサマーセットからウイルスに高頻度かつヒトゲノムやrRNA 配列中では低頻度のプライマーセットを設計する。このプライマーセットを用いた各種臨床検体のメタゲノム解析を行い、ヒトゲノムやrRNA 配列の混入をモニタリングする。このスクリーニングを繰り返し、臨床検体のメタゲノム解析に適した非完全ランダムプライマーセットを探索している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全ウイルス配列を対象とした高頻出のランダムヘキサマーセットはデザインを行い、実際合成し臨床検体を用いた試行を行ったが、ヒトゲノムの減少は有意な差が見られなかった。よってデザイン事態は順調に進行しているが、臨床検体を用いた評価においては未だ検討の余地がある。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに全ウイルスを対象とした高頻度ヘキサマーリストから理想的なヒトゲノムデータをもちいてヒトゲノム中の高頻度配列のサブトラクションを行ってきたが、実際の臨床メタゲノムデータを用いたサブトラクションの開発に取り組む予定である。また臨床検体の種類も変更し、非完全ランダムプライマーの検討を進める。
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