2014 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア病遺伝子診断キットの開発を目的とした網羅的病因遺伝子検索法の開発
Project/Area Number |
25670275
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松島 雄一 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20571342)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ミトコンドリア病 / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリア病の病因遺伝子はミトコンドリアDNA (mtDNA)コードと核DNAコードの遺伝子に大別される。核ゲノムにコードされているミトコンドリア病病因遺伝子の網羅的解析を行うために、既報の病因遺伝子及び遺伝子機能等から予測される病因候補遺伝子の計776遺伝子を選抜し、これらをターゲットとしたカスタムシーケンスキャプチャキットを前年度に構築した。そこでmtDNAに遺伝子変異を持たないため核ゲノムの異常が病因である可能性が高いミトコンドリア病患者由来細胞のゲノムに対し、上述のカスタムシーケンスキャプチャキットと次世代シークエンサーを用いミトコンドリア病病因(候補)遺伝子に限定した変異解析を行った。 変異解析の結果、複数の患者で既知のミトコンドリア病の病因遺伝子変異やこれまでミトコンドリア病の病因遺伝子として報告されていない遺伝子に変異を見出した。さらにこれらの遺伝子変異を持つ患者由来細胞を用いてさらなる解析を行った。以下に一例の解析結果について述べる。 ミトコンドリアのβ酸化に関わるECHS1 (short chain enoyl coenzyme A hydratase)にヘテロ劣性変異を持つ一例に対しては、患者由来細胞を用いた酵素活性解析や正常遺伝子を患者由来細胞に導入しミトコンドリア異常の回復を観察するレスキュー実験等を行いECHS1遺伝子変異が病因であること、また質量分析装置を用いた解析からグリオキシル酸が異常に蓄積していることを明らかにした。このグリオキシル酸は試験管内でミトコンドリア呼吸鎖等を阻害することから、グリオキシル酸やその他の代謝物の異常な蓄積がミトコンドリア病を引き起こす可能性を示した(Sakai C et. al. Human Mutation, 2015)。
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