2013 Fiscal Year Research-status Report
脳性麻痺児の発生頻度の推計と経年的変化の有無の検証
Project/Area Number |
25670312
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 廉毅 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70178341)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脳性麻痺 / 低出生体重児 / 発生率 / レセプト情報 / 人口動態統計 |
Research Abstract |
本研究の目的は(1)脳性麻痺児の療育事業が全県レベルで組織化されている沖縄県における悉皆調査に基づく障がいの程度別の脳性麻痺児の発生頻度の経年変化の分析、(2)厚生労働省の保管する全国のレセプトデータ(レセプトNDB)の匿名化データを用いた全国の脳性麻痺児数の推計、(3)早期に死亡する脳性麻痺児の頻度に関する人口動態統計等の資料を用いた検討を行い、それらの結果に基いて、脳性麻痺児の発生頻度の経年変化の有無及び発生頻度と低出生体重児の頻度との関連を検討することである。 本年度の成果は以下のとおりである。(1)沖縄県における1988年から2005年までの脳性麻痺児の発生率は出生千対1.94であり(遠山ら)、先行研究や諸外国の脳性麻痺児の登録制度から算出した発生率と大きな違いはなかった。そのデータを年次別に検討した結果、2000年以前には一定の傾向は見られないが、2000年代になって発生の少ない年が若干多いようであった。引き続き、経年変化については重症度別の検討や統計的手法による検討を加える。(2)全国の発生率を推計するため、厚生労働省のレセプトNDBに利用申請を行い、脳性麻痺及び関連の疾患で保険診療を受ける児のレセプト情報を収集するべく担当者らと協議を行った。協議を重ねた結果、申請は許可されデータ提供を待っている状態である。(3)人口動態統計の公表資料によれば、脳性麻痺による乳児死亡数(率)は、1987年8(出生10万対0.6)、1992年6(同0.5)、1997年6(同0.5)、2002年2(同0.2)、2007年1(同0.1)、2012年1(同0.1)であった。死亡率はきわめて低く、乳児に比して1歳以降の死亡率はさらに低いと考えられることから、死亡数が経年変化の分析に与える影響は小さいと考えられた。(1)及び(2)の検討を次年度も継続し、結果の取りまとめを行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおりのスケジュールで進行している。レセプトNDBの利用申請によるレセプト情報提供については、すでに申請は許可されており、データ提供を待っている状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
脳性麻痺児の発生率の経年変化の検討、及び全国的な脳性麻痺児の頻度と各都道府県における低出生体重児の頻度との関連の検討を行って、本研究の結果を取りまとめるとともに、学会・学術誌等における公表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
レセプトNDBの利用申請によるレセプト情報提供については、すでに申請は許可されており、データ提供を待っている状態であるが、年度内にデータ提供がなかったため、データ分析に必要な消耗品、人件費等が不要となった。 レセプトNDBの利用申請によるデータ提供を受けて、データ分析に必要な消耗品、人件費、研究打合せのための旅費に支出する。
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