2014 Fiscal Year Research-status Report
脳性麻痺児の発生頻度の推計と経年的変化の有無の検証
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25670312
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 廉毅 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70178341)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脳性麻痺 / 低出生体重児 / 発生率 / 有病率 / レセプト情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、これまでほとんど報告されていない、わが国全体の脳性麻痺児の発生頻度を明らかにし、発生に関わる要因を探ることにある。全国の脳性麻痺患者の人数を推計するため、厚生労働省のレセプトNDB事業に対して、直近1年分の全レセプトのなかから、脳性麻痺に関わる傷病名や診療行為(リハビリテーション)などのデータ抽出の申請を行い、平成25年度末に利用許可を得た。しかし、データ抽出のフォーマット等調整に時間を要し、また当該業務を担う厚生労働省の指定業者が変更になったことから、データ受領は平成26年10月となった。データ受領後は、順調に分析を進め、以下の結果を得ている。 2012年6月から2013年5月までの日本全国の1年分のレセプトについて、同一人を突合した上で、抽出された脳性麻痺患者の総数は110,325人で、男性60,287人(54.6%)、女性50,038(45.4%)であった。全人口に対する有病率(人口千対)は0.88(男性0.97、女性0.77)で、年齢層が若いほど有病率が高かった。10歳ごとに区切ってみると、0~9歳で男性2.67、女性2.12、10-19歳で男性1.96、女性1.58、20-29歳で男性1.19、女性1.02、30-39歳で男性0.77、女性0.70となり、以後年齢が増すに従って有病率は低下した。また、いずれの年齢層においても、男性の有病率が女性のそれより高かった。 年齢とともに有病率が低下するのは、高齢になるに従って治療やリハビリを受ける者が減少することや、早世する脳性麻痺患者がいることによるものと思われる。脳性麻痺児の発生頻度は若年層の有病率に近いと考えられた。また、従来の「患者調査」による推計総患者数76,000人(2011年)は過小評価と考えられた。今後、地域別の低出生体重児割合などとの関連について分析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
厚生労働省のレセプトNDB事業に対して、脳性麻痺に関わる傷病名や診療行為(リハビリテーション)などのレセプトデータ抽出の申請を平成25年度に行い、平成25年度末に利用許可を得た。しかし、データ抽出のフォーマット等調整に時間を要し、また当該業務を担う厚生労働省の指定業者が変更になったことから、データ提供が7ヶ月遅延し、平成26年10月にデータ提供を受けた。その結果、予定していた分析作業にも遅れを生じ、事業期間を1年間延長した。データ受領後、研究は順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
地域別の脳性麻痺患者の有病率等を明らかにし、地域別の低出生体重児割合などとの関連について分析を進め、脳性麻痺発生に関わる要因を探る予定である。
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Causes of Carryover |
厚生労働省のレセプトNDB事業に対して、本研究に用いるレセプトデータ抽出の申請を平成25年度に行い、平成25年度末に利用許可を得た。しかし、データ抽出のフォーマット等調整に時間を要し、また当該業務を担う厚生労働省の指定業者が変更になったことから、データ提供が7ヶ月遅延し、平成26年10月にデータを受領した。この結果、予定していた分析作業や学会報告等に遅れを生じ、研究費についても未使用額が残った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
元々予定していた分析作業や学会報告等を今年度実施するため、それに充てる予定である。
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