2015 Fiscal Year Annual Research Report
脳性麻痺児の発生頻度の推計と経年的変化の有無の検証
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25670312
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 廉毅 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70178341)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脳性麻痺 / 低出生体重児 / 発生率 / 有病率 / レセプト情報 / 人口動態統計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、わが国全体の脳性麻痺児の発生頻度を推定し、経年変化や発生に関わる要因を探ることにある。わが国全体の脳性麻痺児は「患者調査」によれば、5歳~9歳の年齢層で人口千対1.3と推計されている。しかし、患者調査は患者の主傷病1件のみを取り上げること、通院患者の場合、過去30日以内の受診者のみを対象とすることから、過小評価と考えられる。 本研究では、全国ほぼ全ての診療報酬請求書情報(レセプト情報)をデータベース化した、厚生労働省のレセプトNDB事業に対して、直近1年分の脳性麻痺に関わる傷病名や診療行為(リハビリテーション)のある全レセプトのデータ抽出の申請を行って利用許可を得た後、匿名化データを得て、脳性麻痺児の人数の推計等を行った。 2012年6月から2013年5月までの日本全国の1年分のレセプトについて、同一人を名寄せした上で抽出された20歳未満の脳性麻痺患者の総数は44,381人で、男性25,237人(56.9%)、女性19,144(43.1%)であった。これから算定した0~4歳人口における有病率は2.26(人口千対)、5~9歳では2.27、10~14歳では2.07、15~19歳では1.74であった。いずれの年齢層においても、男性の有病率は女性より高かった。また、1歳刻みで有病率をみると、0歳から年齢が上がるにつれて上昇し、4歳をピーク(人口千対2.39)にその後は徐々に減少した。 年齢とともに有病率が低下するのは、年長では頻繁な治療やリハビリを受ける者が減少すること、早世する者がいることなどによるものと思われることから、脳性麻痺児の発生頻度は若年層の有病率に近いと考えられた。同様に、過去20年間の発生率の大きな変化はないと考えられた。都道府県別の脳性麻痺児の発生頻度と低出生体重児割合との関連については、他の想定される交絡要因を調整後、有意な正の関連がみられた。
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Research Products
(1 results)