2014 Fiscal Year Research-status Report
Identification of environmental factors contributing to child development disorder: an approach based on a secondary target of organophosphorus insecticides
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25670318
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
上島 通浩 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80281070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨澤 元博 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (20621808)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有害化学物質 / 環境対応 / 人間生活環境 / 社会医学 / 脳・神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機リン系殺虫剤は、その薬効や環境中での非蓄積性といった優れた性質のため、農薬や防疫用薬剤としてひろく用いられている。高用量で曝露した場合、神経系のアセチルコリンエステラーゼの阻害により急性神経毒性を発揮するが、一般生活環境においては、急性・慢性毒性を考慮した残留農薬基準等により曝露量は適切に管理され、日常生活における安全性は十分に担保されている。しかし、近年、極低用量で持続的に曝露された場合の健康影響の有無についての研究が、世界各国で注目されている。本研究では、有機リン系殺虫剤への曝露が、自閉症スペクトラム障害や注意欠陥・多動性障害などの精神神経発達障害と関連するのではないかとの仮説を、ヒトを対象とする調査により検証する。 26年度は研究参加者の募集を名古屋市立大学病院において開始し、小児科の心理・発達外来で研究協力への呼びかけを行った。症例群はDSM-IV(V)にて、ADHD単独症例および、ADHDと自閉症スペクトラム障害を含む広汎性発達障害合併者とした。ADHD-RS日本版、AQ児童版、WISC-IIIの3種類の評価尺度を発達障害評価バッテリーとして用い、それぞれの障害のサブタイプ分類と症状の程度の評価を行った。また、有機リン系殺虫剤の曝露と関連性が予想される行動の情報を得た。症例17人、対照5人の協力を得ることができ、採血、採尿を行ったが、性、年齢のマッチングが不十分なため、さらに参加者呼びかけを継続して行っている。血中のエンドカンナビノイドおよび尿中の有機リン系殺虫剤代謝物の測定は、症例・対照の比較または症例群内での重症度別の傾向を明らかにできる対象者数が 確保された時点で、本研究で確立された方法を用いて実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究対象者からの採血をともなう研究であるため、保護者の同意とともに対象者本人のアセント取得が求められ、統計学的検定ができる対象者数、特に対照群の確保が当初の計画に比べ遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究参加者の募集を継続するが、症例・対照の比較が困難な場合は症例群内での重症度別の傾向を解析する。対照群、症例群ともに、解析に必要な年齢児を明確にして、解析に最低必要な対象者数を確保することを目標に、研究参加の声かけを継続中である。
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Causes of Carryover |
測定系の確立に当初の予定より時間を要し、研究参加者の募集開始時期が遅れた。また、急性疾患を抱えず日常生活を送ることのできる小児に採血を行う調査のために、参加者の増加が計画立案時を下回るペースで進み、統計学的解析に耐えられる参加者数に達することが出来なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度においても小児科外来における参加者呼びかけを継続し、助成金は対象者への謝金、検体分析に必要な費用に使用する。
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