2014 Fiscal Year Research-status Report
化学物質取扱い労働者の複合曝露による発癌リスクに関する歴史的コホート研究
Project/Area Number |
25670323
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
冨岡 公子 奈良県立医科大学, 医学部, その他 (20393259)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 疫学 / 発がんリスク / 化学物質 / 複合曝露 / 職業性曝露 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1953年から2000年までの間に1つの化学物質製造事業所に在籍していた元労働者を含めた全員を対象とした化学物質の複合曝露による発癌リスクに関する歴史的コホート研究である。平成26年度の実施状況は以下の通りである。①追跡調査:平成25年度に実施したアンケート調査の未返信者を対象に催促(会社のOBより電話かけ、郵便物の送付など)を実施した。アンケート未返信者のうち、退職時点での住所に郵便物が届かず返還されて来た者については、最終判明地に赴き現地調査や同僚からの聞き取り調査を行なった。②死亡診断書の閲覧:死亡が確認された対象者に関しては、法務省の認容を得て、死亡診断書事項証明書を入手した。③医療機関からの情報提供:アンケート調査にてがんのり患ありと回答された事例で、主治医への問い合わせに関する同意が得られた者について、医療機関調査を実施した。④平成26年度は、化学物質取扱い履歴(原本は紙媒体)のデータ化を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現役者に対する調査は計画通りに進められたが、退職者の追跡および化学物質取扱い履歴(原本は紙媒体)のデータ化がやや遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として検討している事項は、以下の通りである。①女性の場合、結婚を機に改姓されたり引っ越しをされたりしている労働者が多いため、現住所が不明の者が男性よりも多い。また、結婚を機に退職した短期間の労働者が多いこともあり、女性労働者は本研究の対象として除外する方向で検討している。②平成26年度末時点で、1953 年から1972年の間に発がん性化学物質を取り扱った労働者224名については、81症例の癌罹患を確認することが出来たので、当初の計画通り、部位別の発がんリスクを検討する予定である。しかし、上記に該当しない1973年以降の労働者に関しては13症例の癌罹患しか確認出来なかったので、部位別の発がんリスクの検討は困難と考え、全がんに対する発がんリスクを評価する方向で検討している。③化学物質取扱い履歴は紙媒体である上に、同じ化学物質であっても複数の名称が存在するため、化学物質取扱い履歴のデータ化には非常な時間と人手がかかることが分かった。また、1973年以降の労働者に関しては、癌罹患者は13症例のみであったので、この集団に関しては、歴史的コホート研究によって把握された対象者の中から、発がん患者の年齢および就労時期をマッチングさせたコントロールを選んだ nested case-control studyを行い、化学物質の複合曝露による全がんの発癌リスクを評価する方向で検討している。④化学物質取扱い履歴のデータ化を更に進める予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度の調査では、会社のOBの協力が得られて、郵送代などの調査費用がかからずに済ませることが出来たことと、平成26年度に購入予定であった物品を次年度に購入することになったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、化学物質取扱い履歴のデータ化を実施する。化学物質取扱い履歴のデータ化には時間と人手がかかるので、平成26年度の残金を合わせた研究費で調査と履歴のデータ化を実施する予定である。また、平成26年度に購入予定であった物品を平成27年度に購入して、調査を進めていく予定である。
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Research Products
(2 results)