2014 Fiscal Year Research-status Report
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25670324
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
横山 和仁 順天堂大学, 医学部, 教授 (00158370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松川 岳久 順天堂大学, 医学部, 助教 (60453586)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 労働衛生 / 農業 / 農薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国の農業はこれまで家族経営(自営業)が主流を占めており、基本的には労働安全衛生法の対象となっていなかった。そのため、安全管理責任や事故報告についての義務がなく実態の把握やそれに基づく対策の全国的な仕組みづくりが困難であった。家族経営を主軸としてきたことによる農業人口の高齢化や減少が問題となっており、このような背景をうけ、家族経営以外の事業者の参入が増加している。昨年度は、農業関連事業所の労働安全衛生担当者を対象に、事業所の立場から農薬に着目した労働安全衛生に関する調査を行ない、事業所規模に応じた適切な安全衛生管理体制やリスクアセスメントに関する認識の向上が必要であることを明らかにした。本年度は、農業経営体で実際に農作業等に従事している労働者を対象に広く労働安全衛生に関する現状についての質問紙調査を行った。対象者は事前に労働者に対する調査の承認が得られている101の農業経営体で働く労働者約1600名である。具体的な調査項目は、事業所の労働安全衛生管理体制や、勤務状況、労働者自身が遭遇した傷病あるいはメンタルヘルス不調の状況まで広く現在の労働安全衛生として問題となっている点をとりあげた。今後、質問紙調査の結果を解析することで、これまで指摘されてこなかった農業に関する労働安全衛生上の課題を明らかにしてゆく。分析結果から農業分野において特に重点的に対処すべき施策を提案し、労働安全衛生上の対策についての指針の一助となることを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では農薬についての調査を主軸にする予定であったが、これまでの現場を対象とした質問紙調査では、現場において農薬は大きな労働安全衛生上の課題ではない傾向が読み取れた。そのため、今年度は農薬にとどまらず広く農業に関する労働安全衛生について検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に得た調査票の結果をまとめ、農業に関する労働安全衛生上の課題を明らかにしてゆく。事業所からの回答では、あまり農薬を労働安全衛生上の課題としてとらえている傾向がみられなかったため、労働者側についての意見をまとめ、事業所と労働者で見解の相違があるか等に着目して解析を進めていく。近年、問題となっている熱中症やメンタルヘルス等、広く労働安全衛生上の課題についても調査を進めていく。
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Causes of Carryover |
調査票の回収率が当初予定よりも少なかったため。約1600名の対象者に調査票を配布し拐取率を30%と見込んでおり、その分の返送郵送料を予定していた。しかし、回収率が予想よりも少なかったため、調査票の返送用郵送代および調査票のデータ入力サービス料が予定よりも少額になった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
可能であれば追加調査を行う。調査票による返答で労働衛生上懸念すべき状況のある事業所で、現地の確認の許可が得られれば訪問して実地調査を行う。
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