2014 Fiscal Year Annual Research Report
断面的な健康診断データに基づく慢性閉塞性肺疾患の発症前二次予防方略の開発
Project/Area Number |
25670325
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
中館 俊夫 昭和大学, 医学部, 教授 (60155760)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 慢性閉塞性肺疾患 / 高感度CRP / 気道刺激症状 / 末梢気道閉塞 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性閉塞性肺疾患(以下、COPD)は喫煙に代表される呼吸器への非特異的な負荷が蓄積して発症する慢性進行性疾患で、早期に発見する方法は確立していない。そこで本研究では、10年間にわたり年1回の調査を行った職業コホートで5年以上の調査で一秒量が得られた男性687名を解析し、COPDの病態の進行を最も的確に示す一秒量の年間変化量(以下、ΔFEV1)との関連性を、喫煙状況および一般的な健康診断項目に加えて、時定数分析を含む肺機能検査指標と血液・尿試料を用いた新規バイオマーカーの項目について評価することによって、COPD発症ハイリスク者を早期に見出す上で有用な断面的な評価方法を検討した。 まず個々の生体指標項目について、ΔFEV1との関連が統計的に有意(p<0.05)となる項目を候補項目としてふるい分けしたところ、喫煙、年齢、高感度CRP、呼吸器症状(せき、せきたんの増悪、ぜんめい、の各症状)、肺機能レベル(一秒率、最大呼気流速[MMF]、50および25%肺活量位最大呼気流速[V50、V25])の10項目が抽出された。 次にこれら10項目について、その相互の関連性とΔFEV1との関連性の強さを検討して喫煙、年齢、高感度CRP、せきたん増悪、V25の5項目に絞り込み、さらにその種々の組合せによる多変量線型モデルを作成してΔFEV1との関連性を検討したところ、最終的に高感度CRP、せきたん増悪、V25の3項目の組合せが自由度を考慮して最大の決定係数を示した。 喫煙と加齢がCOPDの危険因子であることは既知であるが、実際にCOPDを発症するのは喫煙者や高齢者のごく一部である。本研究ではそれを予測する上で、炎症反応の存在、気道刺激症状の悪化、気道末梢部の閉塞を反映する指標が有用である可能性が示唆され、それぞれに関してさらに精度の高い指標項目を検索する必要が示された。
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