2013 Fiscal Year Research-status Report
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25670328
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
一瀬 豊日 産業医科大学, 医学部, 准教授 (80341494)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 保健医療行政 / 医師偏在 / 空間統計学 / 医師のキャリアパス / 勤務地選択 / 診療科目 |
Research Abstract |
目的:医師分布動態および動態影響因子を踏まえた空間統計学的動態予測モデルの構築 背景:医師数把握は厚生労働省実施の医師・歯科医師・薬剤師調査(3師調査)があり、今村らがコホートデータベース化した。しかし、2 年毎調査であり、賃金構造基本統計で明らかになっている25~29 歳医師の平均勤続年数1.4 年と欠損が大きく、また本格的な地理情報解析や要因分析は行われていない。このため平成25年度は、医師の連続した職歴記録を有す大学の職歴データベースを基に、空間統計学的手法で動態解析を実施した。都市部への分布傾向が強いことの他、全国レベルでは、講座(診療科目)および主たる業務・勤務機関の移動傾向に一定方向性のあること。男性医師は3 割程度しか出身地を含む出身隣接都道府県に戻らないのに対して、女性医師の3 割は出身都道府県、6 割は出身地を含む隣接都道府県へ戻ること。5 年以上継続勤務した地域にはその後も継続して勤務するものが多いこと、勤務先選択の移動距離の平均は次第に小さくなることなど動態予測係数となりうる基礎データを得た。 これとは別に年度予定に先行し、3師調査の公表データを精査した。現状では医師の不足と過剰は、県単位や医療圏毎の平均値との乖離が指標として議論されることが多い。しかしながら平均値との乖離は労働時間や労働需給の実態とは乖離している可能性があり、実態把握に有効な過剰の指標を検討した。この内容は平成26年日本衛生学会等で発表予定である。 意義:医師分布を集計値から政策担当者や医学学術団体毎でのさらなる詳細解析や予測、対策等立案に利用できる医師の空間動態予測モデルを構築し、経験的予測から統計予測の分野とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度目標分の分析を実施し、一部先行し3師調査の公表詳細資料を用いた分析に着手できたことから、達成度はおおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、25年度に得られた成果の学術誌等への発表、現在得られている医師空間動態の係数を3師調査の公表データに外挿した空間動態予測モデルを構築、推算の妥当性検討を実施し、政策担当者や医学学術団体毎でのさらなる詳細解析や予測、対策等立案に利用できる医師の空間動態予測モデルを構築する。 本研究における制約及び限界であるが、分析対象としている医師の職歴記録、3師調査などは主たる職務の職歴記録であるため労働時間の資料とはなっていない。このため勤務時間変動や短時間勤務者数による労働時間および労働供給量変化を把握できない点と、人口高齢化等にともなう患者数の変化で生じる医療需要の変動による労働需要量の変化を捉えていない点が、本モデルの弱点である。これらを明記した幅のある解析結果や解釈をどの程度許容するかが平成26年年度の大きな課題であり、本研究を推進・発展させてゆきたい。
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