2013 Fiscal Year Research-status Report
常圧過熱水蒸気を用いた滅菌技術と可動式滅菌装置の開発
Project/Area Number |
25670329
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | 公益財団法人大阪バイオサイエンス研究所 |
Principal Investigator |
村上 能庸 公益財団法人大阪バイオサイエンス研究所, その他部局等, 研究員 (30426530)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 過熱水蒸気 / 滅菌 / 環境衛生 |
Research Abstract |
食中毒予防や疾病予防には有害微生物を滅菌・消毒する衛生管理が必要不可欠である。これらの衛生管理には薬剤が使用される場合が多いが、残留等の問題もあり、薬剤を使用しない方が望ましい。本研究では、過熱水蒸気の種々の病原・食中毒菌への滅菌特性の詳細な評価と、小型滅菌装置の開発、および、食品産業関連施設での実証試験を行い、『環境管理が必要な環境での水と熱のみによる滅菌方法』の開発を目指した。 平成25年度は、耐熱芽胞菌や各種病原菌を用い、薬剤による殺菌では困難とされている高濃度有機物の混在条件、および、バイオフィルム形成条件下での過熱水蒸気の効果検証と、小型で移動可動な常圧過熱水蒸気滅菌装置の試作と試験使用による問題点の抽出を行った。 過熱水蒸気の効果検証試験では、高濃度有機物の混在条件、および、バイオフィルム形成条件下でも、過熱水蒸気照射による殺菌効果が維持されることがわかった。 装置の試作では、容積15Lの給水タンクを保持し、過熱水蒸気供給量5kg/hを担保した小型で移動可動な常圧過熱水蒸気滅菌装置を試作した。本装置の試験使用では、設備と設備の隙間などの狭い場所への過熱水蒸気の吐出が必要とされる場合が多いことが判明した。その対策として、本年度はヒーターで覆われた過熱蒸気誘導管を装置に導入することで、狭い部分への過熱水蒸気の供給を可能にし、かつ、供給過熱水蒸気温度の低下を抑えることを可能にした。現在、過熱水蒸気吐出部のさらなる改良を目指している。 本装置の応用・実用化の可能性について、食品関連以外の分野でも積極的に意見交換を行い、実験動物飼育施設や植物工場などでの環境管理への利用についても興味が持たれている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標は、耐熱芽胞菌や各種病原菌を用い、薬剤による殺菌では困難とされている高濃度有機物の混在条件、および、バイオフィルム形成条件下での過熱水蒸気の効果検証と、小型で移動可動な常圧過熱水蒸気滅菌装置の試作と試験使用による問題点の抽出であった。 過熱水蒸気の効果検証試験では、高濃度有機物の混在条件、および、バイオフィルム形成条件下でも過熱水蒸気の殺菌効果が維持されることが明らかになったため、概ね本年度の課題を達成したといえる。 小型で移動可動な常圧過熱水蒸気滅菌装置の試作は、試作装置の完成が遅れたものの、フィールドテストに進み、問題点の抽出とそれに対応した装置の改良をすることができたため、概ね本年度の課題を達成したといえる。 また、本装置の応用・実用化の可能性について、食品関連以外の分野でも積極的に意見交換を行った結果、実験動物飼育施設や植物工場などの環境管理への利用についても興味を持たれている。このことから、利用面でも応用研究分野の拡大が期待されており、本年度の課題を達成したといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に作製した常圧過熱水蒸気滅菌装置の試作機の実証試験を中心に行う。具体的には、まず、食品関連施設でのフィールドテストで滅菌性能の検証試験を行う。特に、汚染度が高く、微生物がバイオフィルムを形成している確立が高いと考えられる、施設内の隅の部分、水回り等を必須の対象項目にする。また、動物飼育施設や植物工場での衛生管理の問題点を抽出し、対応策を検討する。 本実証実験は、現場での実際の使用による問題点の抽出としても位置付けており、得られたデータを試作装置の改良にフィードバックし、使用性の問題点について改良を行う。特に、実稼働条件では、作業時間、滅菌効果に大きく影響すると考えられる過熱水蒸気吐出部の形状について詳細に検討し、再設計・改良を行い、さらなる性能の向上を目指す。
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