2013 Fiscal Year Research-status Report
心拍変動を用いた研修医の自律神経機能・ストレス評価と研修プログラム適正化への応用
Project/Area Number |
25670336
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
吉田 和代 佐賀大学, 医学部, 准教授 (00271122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野出 孝一 佐賀大学, 医学部, 教授 (80359950)
江村 正 佐賀大学, 医学部, 准教授 (90274589)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 臨床研修 / マネージメント / 慢性疲労 / 自律神経 |
Research Abstract |
初期臨床研修医は様々な身体的・心理的ストレスを受けやすい。本研究では研修医を対象とし、疲労、精神的ストレス、睡眠不足が自律神経機能に及ぼす影響を心拍変動解析を用いて検討し、その結果を研修医のヘルスケアや研修プログラムの適正化に応用することを目的として計画、実施した。平成25年度の研究実績概要は以下のとおり。 1.1年次臨床研修医14名に対し、24時間Holter心電図を記録し、時間領域指標としてRR50・SDNN、周波数領域指標としてTF・LF・HF・LF/HF・CVHF・CVLF/CVHFを用いた心拍変動解析を行い、同時期に蓄積的疲労徴候インデックス(CSF-I)を用いた疲労度調査を施行した。2.全体では副交感神経機能の指標とされるHF成分の平均は411.9msec2、交感神経機能指標とされるLF/HFの平均は2.49であり、著明な異常はなかった。3.一部に副交感神経指標であるHF成分やRR50が明らかに低下した例を認めた。4.夜間救急研修中の研修医は本来副交感優位である夜間に交感神経の亢進を認める。5.CSF-1の平均訴え数も基準値の範囲内であったが、一般的疲労ならびに慢性疲労徴候の2項目で訴え数が多い傾向を認めた。5.慢性疲労徴候と心拍変動指標との関係では訴え数が多い研修医ではHF成分が低くLF/HFが高い傾向を認めた。また、救急研修中の研修医とその他の研修医の比較では、一般的身体疲労には明らかな差はないが、慢性疲労徴候は救急ローテート中の研修医よりも内科ローテート中の研修医で高い傾向にあり、いわゆるOn-Offの違いが関連している可能性が示唆された。以上のH25年度実績より、臨床研修医において疲労と自律神経機能の間には関連性が示唆され、研修医の健康管理、ならびに臨床研修プログラムの再評価への応用について、研修負荷の程度を評価し適正化をはかるのに有用と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実施成果は意義ある結果が得られているものの、初年度は研究説明書や同意書等、倫理面での整備ならびに関係部署への説明・同意等のため、予定していた1年次前期での心拍変動解析の実施ができなかったため、1年次前半と後半の比較が実施できなかった。したがって達成度としてはやや遅れていると考える。(1年次前半と後半の比較は本年度1年次研修医にて実施する。)
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度後半からは順調に実施できていると考えるので、引き続き現在の研究を推進する。同年度に得られた結果の一部については現在第46回医学教育学会に演題応募中である。 H25年度被験者については本年度再度同項目の調査を行い、1年次と2年次の比較検討を行う。 昨年度実施できなかった1年次研修前半と後半の比較については本年度の1年次研修医30名を対象に調査を実施する。また、本年度1年次研修医については、引き続きH27年度にも同調査を行い、1年次との比較を行う。 研修プログラムの負荷とその妥当性を診療科別に評価するために、H25年度同様、診療科間の比較を行うとともに同一研修医において複数診療科研修中の結果を比較検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「現在までの達成度」の項に記載したのと同様、初年度は研究説明書、同意書等の整備や関係各部署の承認等に時間を要したため、実際の調査・解析スタートが年度後半となり、予定していた前後半2回の調査・解析ができなかった。 これに伴い記録媒体や消耗品等の購入の必要性が予定を下回ったこと、解析費についても予定よりも件数が少なかったため筆頭研究者による解析と所有していた物品のみで可能であったこと、データ入力等を行う研究補助者についても雇用開始が予定より遅くなったことから予定よりも少なくなり、次年度使用額が生じた。 H25年度に実施予定であった1年次研修前半と後半の比較をH26年度に行うため、H26年度の被験者(検体)数が当初計画より述べ60名増えるため、その増加に対応する物品ならびに解析費が増加し、これらの申請時の当初計画額を上回るため、次年度使用額を使用する。 また、研究計画が順調に進行し始めたため、ホルター心電図装着日のスケジューリングや調査票の回収、データ入力等を行う研究補助者の勤務時間とに対する人件費も本年度はH25年度よりも増加する予定である。
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