2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25670339
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Japan Research Promotion Society for Cardiovascular Diseases |
Principal Investigator |
相馬 孝博 公益財団法人日本心臓血圧研究振興会(臨床研究施設・研究部門), 副院長室, 副院長 (90262435)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤澤 由和 静岡県立大学, 経営情報学部, 准教授 (70387330)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 医療の質 / 医療サービス / 利用者評価 |
Research Abstract |
本研究は、患者の医療サービスの経験に対する評価を基盤として、医療の質の改善において有用となる評価法を具体的に提示することにより、患者の視点に基づく、より広い視座から医療サービスを再構築することに向けて、医療サービスの再構築に向けて、医療の受け手である、患者らの医療サービスに対する経験評価の在り方を具体的に把握するために、その実証的な検証に資するデータの構築と、さらにはこうした評価の有効性を検証することを目的とした。 本年度に関しては、先行研究の系統的レビューを実施し、患者による医療サービスの経験評価の理論的概念および方法論における論点の整理と確認を行った。この作業に基づいて、患者の視点から医療の質の改善において有用であると考えられる患者の医療サービスの経験に関する質問項目および満足度に関する質問項目に関しての検討を行った。最終的に、約60の質問項目が、我が国においても、医療サービスを評価するのに有効であると考えられることから、これらに関して、基本的な項目として検討を行うこととした。 またこれらの質問項目に関して、医療機関において入院経験のある者らへのインタビューを実施し、質問項目に関する、内容の妥当性を中心に検討を行った。当初想定していたよりも、当該質問項目には、なんらかの工夫が必要であることが明確となった。 また次年度以降、実施予定のデータ構築に関しての、準備を進めた。具体的には、調査対象と設定している複数の医療機関に関して、本調査の実施に関する調整を担当者らと行い、調査プロトコルの確認などを行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度においては、「医療サービスの経験評価に関する方法論の再検討」「調査の実施の準備」の二点を実施することを計画しており、当該年度においてそれらを実施することができた。 医療サービスの経験評価に関する方法論の再検討に関しては、具体的には、先行研究の系統的レビュー、質問項目の抽出、それらの理論的かつ経験的な検証を行ったのであるが、先行研究のレビューを通しての論点の再確認に関しては、本研究の問題設定および方向性が世界的な当該研究領域と合致したものであることが確認された。また候補として抽出された質問項目に関しては、その理論的な点に関しては、国内外の研究者らとの議論を通して、さらに具体的な我が国における経験的な観点からの検討に関しては、医療機関において入院経験のある者らへのインタビューを実施し、候補とされた質問項目が具体的にどのような形で、その意味的理解が成され、さらに回答としてどのような回答がなされうるかという点に関して、情報を収集し、その検討を行うことができた。これらにより、当該研究における方法論の検討が十全になされたといえる。 調査の実施の準備に関しては、計画段階において、複数の調査実施候補機関を想定していたのであるが、それらの医療機関の担当者らとの協議を行い、具体的な実施条件に関する検討を行った。また同時に、調査実施の均質性を担保するために、調査プロトコルを作成し、それらに則った形での調査が実際の候補医療機関において可能であるかという点に関しても、合わせて検討を行い、論点を明確化することができ、実際の調査実施が十分可能な状態となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の今後の進め方としては、「調査項目の確定および調査票の作成」、「調査項目の確定および調査票の作成」、「調査の実施」、「調査データの分析」、「研究のとりまとめ」という以上、5点を実施する予定である。 「調査項目の確定および調査票の作成」に関しては、 前年度に実施した作業を踏まえ、専門家らとの協議を行い決定する。その際、国外の先行研究より抽出された質問項目に関しては、バックトランスレーションを行い、日本版の質問項目としての有用性を確保する。 「調査の実施」に関しては、 調査対象者は、外来患者および一部の入院患者を対象として調査を実施する。外来患者に関しては、複数の内科診療科において、それぞれの診療科を受診した患者について、各診療における患者割合に基づき調査対象数を決定する。入院患者に関しても複数の内科診療科において、それぞれの診療科に入院している患者の中で調査期間内に退院した患者について、これまでの退院実績に基づき調査対象者数を決定する。 「調査データの分析」に関しては、まず各質問項目で単純集計を行い、回答傾向に著しいばらつきが示された質問項目を抽出し、ワーディングなどの観点から内容的な妥当性の検証を行う。一定の妥当性が確認された質問項目に関しては、回答分布が著しく良好な数値を示す質問項目、回答分布が著しく改善事象を示す質問項目を抽出し、医療機関の関係者との議論により回答傾向と現状の医療の提供体制との現状分析を行う。さらに、満足度との関連性を相関分析により検証を行い、経験評価を補完しうる満足度の特性に関して検証を行う。 以上を踏まえ、データの分析を踏まえて、可能なかぎり早い時期に当該知見をまとめ、海外の研究協力者などとの協議を踏まえ、成果の取りまとめ、および公表を行うこととする。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
データ構築のための調査実施に費用を使う必要があるため 調査の実施に際しては、当該作業に関連する作業に費用を投じる予定である。また、調査協力者への謝礼も用意する予定である。
|