2013 Fiscal Year Research-status Report
不整脈死の「可視化」:刺激伝導系の3次元画像解析・病理組織解析と遺伝子解析の融合
Project/Area Number |
25670345
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
呂 彩子 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (50296555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水上 創 東京医科大学, 医学部, 准教授 (50384938)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 突然死 / 不整脈 / 法医病理学 / 刺激伝導系心筋 |
Research Abstract |
本研究は、不整脈性突然死の解明に向け、剖検例の刺激伝導系心筋の病理形態解析および遺伝子解析を行い、総合的な検討を行うことを目的とする。平成25年度は、病理形態解析法の確立および報告、対象症例の蓄積、および各解析の基礎検討を行った。 まず、病理形態解析として、伝導系心筋の走向に沿った切片方向からの組織作製を行い、従来の垂直方向からの観察法との比較を行い、結果を第97次日本法医学会に報告した。本法は、従来より簡便で法医実務に応用しやすいことから、参加者から多くの質疑と反響を得た。また、同発表では剖検例15例の刺激伝導系心筋の形状についても同時に報告した。本法は、従来法より連続的な視野で刺激伝導系心筋が観察された結果、非不整脈死と考えられる事例でも刺激伝導系に形態的変化の認められる症例があることがわかった。さらに次年度施行予定の病理形態解析として、免疫染色および3次元形態解析に関し、症例の蓄積および各種抗体の染色条件の検討、画像解析条件の検討を行った。 また、遺伝子解析としては、遺伝子解析の予備検討として、過去に不整脈死が疑われ、すでに承諾の得られた事例につきにつき、遺伝性QT症候群関連遺伝子KCNQ1(LQT1)のシークエンス解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺伝子解析に関しては、代諾者より研究概要について承諾の得られた事例が予定より少なく、平成25年度の実施予定であったDNA抽出を平成26年度に行う事とした。病理形態解析に関しては、平成25年度の実施予定であった連続組織標本の作製 、一般組織染色による病理形態解析が順調に進行しており、刺激伝導系心筋の病理検索法についても報告を行うことができた。さらに平成26年実施予定の免疫組織解析、3次元形態解析については、症例の蓄積および検討方法の準備が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は研究最終年度であり、病理形態解析を更に発展させ、連続組織切片を用いた3次元形態解析および、免疫組織解析を行う予定である。また、不整脈関連遺伝子解析については、次世代シークエンサーを用いたDNA解析を予定している。これらの結果を総合的に判断することで、突然死剖検例における不整脈関連死の法医鑑定に有用な知見を得られるものと考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
遺伝子解析に際し変更が生じた。計画では当該本年度にDNA抽出を行う予定であったが、代諾者から研究概要について承諾の得られた事例が予想より少なかった為、次年度にDNA抽出を行うこととしたため、本年度のDNA抽出費用は次年度に使用されることとなった。 遺伝子解析に関しては、DNA解析および不整脈関連遺伝子のシーケンス解析を次年度中に実施する予定とする。
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