2015 Fiscal Year Annual Research Report
房室結節の発生機序解明による新規房室ブロック内服治療法の開発
Project/Area Number |
25670397
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
牧野 伸司 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (20306707)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 房室ブロック / 家族性心筋症 / ゼブラフィッシュ変異体 |
Outline of Annual Research Achievements |
進行性家族性心臓ブロックはレネグレ・レブ病とも呼ばれ、まれな疾患であるために正確な有病率や原因は不明である。我々はDNA点変異を誘発するアルキル化剤を用いたゼブラフィッシュ変異体スクリーニングから、ヘテロ変異の成獣でも房室ブロックを示す突然変異体 (nbl) を樹立した。ポジショナルクローニング法により、nbl変異体はheart shock protein 60 (hsp60)遺伝子に点変異があることを発見した。ホモnbl変異体ではhsp60のloss of functionにより、房室結節に多数のアポトーシス細胞が観察された。房室ブロックを示すゼブラフィッシュ変異体と房室伝導障害を示す家族性心筋症を用いてhsp60機能不全による房室ブロック発症の機序解明を行った。さらに、既知の原因遺伝子に変異がない家族性拡張型心筋症家系のhsp60遺伝子について検索を行ったところ、これまでに報告のない突然死を示す家族性拡張型心筋症の家系を発見した。興味深いことに、進行性の房室ブロックに移行するタイプの拡張型心筋症の家系であった。 どのような未知の生命現象も可視化することにより、その理解に格段の進歩をあたえる。心臓が外部から可視化できるゼブラフィッシュと、蛍光蛋白を用いたトランスジェニック魚を組み合わせると、体外から房室伝導機能が定量的に評価可能となる。房室ブロックのメカニズムの解析と平行して、コネキシンプロモーターとcre-loxシステムを用いて、房室機能正常時は赤色蛍光を示し、房室伝導機能低下時には緑色蛍光の房室結節を示す小型魚類生体内可視化システムを構築して、将来の創薬に向けた基盤をすすめた。
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Research Products
(5 results)