2013 Fiscal Year Research-status Report
中和抗体定説への挑戦:画期的Aβオリゴマー標的ワクチン開発
Project/Area Number |
25670415
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
松原 悦朗 大分大学, 医学部, 教授 (70219468)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ワクチン / Aβ重合体 / アルツハイマー型認知症 |
Research Abstract |
生理的に産生されたamyloid β (Aβ)分子の立体構造変化の結果形成されるAβ重合体がアルツハイマー型認知症のシナプス障害・認知機能障害を引き起こす直接原因で治療標的であると考えられている(Aβ重合体カスケード仮説)。アルツハイマー型認知症モデルマウス脳内の神経細胞内外Aβ重合体蓄積抑制とシナプス・スパイン蛋白保護効果、記憶障害発症予防効果を有し先制医療にも応用可能なモノクローナル抗体(日本特願2008-201058, 米国特願12/533,294 & 12/533,348, Mol Neurodegener 2011)と、記憶障害回復と神経原線維変化形成阻止を可能とする根本的治療用抗体(日本特願2008-201058, 米国特願12/533,294 & 12/533,348, Life Sci 2012)開発に成功した。しかしながら、抗体は高コストで先制医療へのその使用は非現実的であり、予防を念頭に置いたワクチンによる根本的先制医療構築が必須である。本課題では高コストで予防治療(先制医療)の実現が困難な抗体医療に代わりに、より安価でADを予防的に根絶するAβ重合体標的ワクチンの開発を目標に研究を遂行した。15種類のAβ重合体特異的ワクチンの抗原取得に成功したが、免疫抗原活性基準を満たすものは1種類のみであった。研究開始半年間で、大分大学神経内科学講座教授として赴任したため、動物実験や前臨床試験施行に必要な大学内動物施設や手続き確認、さらに動物実験計画倫理委員会申請準備を行い、免疫抗原活性基準を満たす目標の2種類目のAβ重合体特異的ワクチンの抗原取得を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成25年10月1日付で弘前大学から大分大学医学部神経内科学教室教授として赴任した。このため、弘前大学で使用していた研究機器や試薬の引っ越しは11月中旬となり、平成25年度はその整理に終始した。本研究遂行には培養実験機器が不可欠であるが、大分大学神経内科学講座に設置されたクリーンベンチは、長らく未使用で放置されていた状態であった。幸いに徹底的な清掃とHEPAフィルター交換のみで何とか再稼働にこぎつけることができた。しかし、培養細胞観察用の顕微鏡とCO2インキュベーターは学内バイオラボで利用可能なものの、共同利用ゆえ競争率が高く、実験遂行時実用的でないことが判明し、別の研究費枠で両備品新規購入し、ようやく平成26年3月に納入が完了した。大分大学へ赴任してからの研究機関後半の半年間はこうした研究環境整備に時間を費した。このため、当初予定していた2種類のワクチン抗原取得は1種類に留まっている。
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Strategy for Future Research Activity |
可及的速やかに2種類目のAβ重合体特異的ワクチンの抗原取得を目指す。同時に動物実験計画の倫理委員会での承認を受け、既に取得済みの免疫源ではAβ重合体特異的ワクチンの前臨床試験を開始する。1年間で予防と治療の両者の有用性を検証するため、理研の西道研究室で開発され、すでに譲渡許可の内諾を得ているヒトアルツハイマー型認知症モデルマウスを入手して検証を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究開始半年で弘前大学から大分大学医学部神経内科学教室教授として赴任した。このため、研究機器や試薬の引っ越しとその整理、また新たな実験室機器整備や動物実験整備などあらたな研究室環境整備に着手する必要があり、これに終始したことによる。 整備した培養機器などを活用し、可及的速やかに2種類目のAβ重合体特異的ワクチンの抗原取得を目指し、ワクチン設計を完了する。そのための経費として前年度未使用額を使用する。
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Research Products
(2 results)