2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25670444
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
千葉 滋 筑波大学, 医学医療系, 教授 (60212049)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | がん / 悪性リンパ腫 / 炎症細胞 / RHOA遺伝子 / TET2遺伝子 / DNMT3A遺伝子 |
Research Abstract |
悪性腫瘍は腫瘍細胞とこれをとりまく微小環境細胞から構成される。本研究では、T細胞性リンパ腫の標本から腫瘍細胞とその周辺の非腫瘍性炎症細胞とを1個ずつ補足して細胞種毎にDNAを調整し、腫瘍化したT細胞特異的な体細胞性変異と、非腫瘍性炎症細胞にも存在する体細胞性変異とを同定することを目的とした。まず、6例のT細胞性リンパ腫サンプルについて全エクソンシークエンスを行い、87のアミノ酸変化を伴う遺伝子変異を同定した。複数の検体でRHOA変異が認められたことから、多数例のT細胞リンパ腫でRHOA遺伝子を解析したところ、特に血管免疫芽球性T細胞性リンパ腫(angioimmunoblastic T-cell lymphoma, AITL)において非常に高頻度(70%)に変異が認められた(Nat Genet, 2014)。AITLは、血管と炎症細胞に富む難治性の末梢性T細胞性リンパ腫であり、腫瘍細胞は濾胞性ヘルパーT細胞の形質を示す。標本から腫瘍細胞および炎症性リンパ球をレーザーマイクロダイセクションで1個ずつ分取し1000個のプールからDNAを調整してシークエンスしたところ、RHOA変異は腫瘍性T細胞でのみ検出された。一方、TET2遺伝子やDNMT3A遺伝子の変化は、腫瘍細胞で予想通り検出された他、同一の体細胞性変異が非腫瘍性炎症細胞でも同定された。このことは、腫瘍性T細胞と微小環境を構成する炎症細胞とが同じクローンから派生することを意味し、がん微少環境を治療標的として理解する上でも重要な進歩になると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血管免疫芽球性T細胞リンパ腫の標本から、レーザーマイクロダイセクション法によって腫瘍細胞とその周辺の非腫瘍性炎症細胞とを1個ずつ補足し、個々のケースで同定されている遺伝子変異の有無を、腫瘍細胞と非腫瘍性炎症細胞のそれぞれで確認することことができた。少数例での検討ではあるが、腫瘍化したT細胞と非腫瘍性炎症細胞とに共通の体細胞性変異が存在することを実証する、という当初の目標を、初年度である程度実現することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度行ったレーザーマイクロダイセクション法による細胞種毎の遺伝子変異解析を、さらに血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)の症例数を増やして行うことにより、AITL腫瘍組織における炎症細胞の起源が、普遍的に腫瘍細胞と同一のクローンに求められるのかどうかを検討する。また、対象疾患をAITL以外の末梢性T細胞リンパ腫にも広げて解析する。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Somatic RHOA mutation in angioimmunoblastic T cell lymphoma2014
Author(s)
Sakata-Yanagimoto M, Enami T, Yoshida K, Shiraishi Y, Ishii R, Miyake Y, Muto H, Tsuyama N, Sato-Otsubo A, et al., Nureki O, Miyano S, Nakamura N, Takeuchi K, Ogawa S, Chiba S.
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Journal Title
Nature Genetics
Volume: 46
Pages: 171-175
DOI
Peer Reviewed
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